俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

知り合いに勧めて好評だった小説5冊目 『カラフル』森絵都

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◯児童文学が主戦場の直木賞作家

過去の直木賞受賞作家の中で児童文学を主に書いていた人ってあんまりいないんじゃないでしょうか?
売れ線の作家ではないかもしれませんが、実力のほどは直木賞受賞という肩書が保証しています。一応、直木賞は作品に対する賞と謳ってはいますが、本読みの中では作家に贈られる賞だともっぱらの噂です。過去の受賞作品を見れはそれは一目瞭然なんですけどね。東野圭吾のあれとか、宮部みゆきのあれとか…。

そんな話はいいとして。

児童文学を大人になってから読むのは少数派だとは承知しております。しかし、馴染みがないからといってこの作品を知らないまま人生を終えるのはあまりにも勿体無いです。
そしてこの森絵都という怪物作家の恐ろしさ、その魅力を一人でも多くの方に伝えたい所存でございます。

森絵都さん。非常に華々しい経歴の持ち主です。
以下、ウィキより抜粋。

1990年(平成2年) - 『リズム』で第31回講談社児童文学新人賞を受賞。

1991年(平成3年) - 『リズム』で第2回椋鳩十児童文学賞を受賞。
1995年(平成7年) - 『宇宙のみなしご』で第33回野間児童文芸新人賞、第42回産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞。
1998年(平成10年) - 『アーモンド入りチョコレートのワルツ』で第20回路傍の石文学賞を受賞。
1998年(平成10年) - 『つきのふね』で第36回野間児童文芸賞を受賞。
1999年(平成11年) - 『カラフル』で第46回産経児童出版文化賞を受賞。
2003年(平成15年) - 『DIVE!!』で第52回小学館児童出版文化賞を受賞。
2006年(平成18年) - 『風に舞いあがるビニールシート』で第135回直木賞を受賞。

見ての通りほとんどの受賞は児童文学作品です。

森絵都の魅力

大人になってから児童文学を読む理由やメリットは色々とあるのですが、森絵都に限って言える最大の理由を挙げるとそれは”過去の自分との邂逅” であります。
仰々しく紹介しましたが、簡単に言うと「それあるわ~」というあるあるネタ的な手法が非常に巧みな作家なのです。特に思春期特有の痛々しさや心のゆらぎなどを切り取るのが上手すぎて、読んでいて己の黒歴史が蘇ることもしばしば。本当に恐ろしい女ですよ、森絵都は。

森絵都の武器のもう一つが、圧倒的なリーダビリティの高さです。とにかくすらすら読めちゃうんです。
小説家なんだから当たり前だと思った方は甘いです。甘々です。
すらすら読ませることがどれだけ難しいことなのかは、自分でやってみるとよく分かります。
自分の頭の中に浮かんでいる情景を伝えるために文章を綴りますが、本人の頭の中のことなので「これくらいの説明でいいだろう」とか「もうちょっと詳しく書いた方がいい」というのは感覚でしか分からないものなんですよね。
読み手にストレスなく的確に伝えるというのはある種、文章を書くバランス感覚に優れているとも言い換えられます。
数多くの作家に触れてきた私ですが、森絵都はその中でもトップ3本の指の中には入ります。

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◯本の紹介

毎度のことですが、前置きが長くなりましたね。
では作品の方の紹介に行きたいと思います。


生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。

 
ありきたりな内容だと侮ってはいけません。いや、もしかしたら侮っているあなたは幸福かもしれません。
綺麗なまでにこの作品に足元を掬われるでしょう。そして読み終わり、本を閉じるときには涙で滲んだ視界の中で森絵都とこの作品に感謝することでしょう。

1000冊以上の小説を読んできた私ですが、こうやって良作を紹介しているとある共通点に気付きます。
それは何かと言うと”その作品にしか成せないことをしている”ということですね。 

作風やジャンルという括りの中の話ではなく、その物語と接したことで体験した感情の動きが他の物語と一線を画しているかどうかが良作かどうかの分かれ目になっているのです。

そして『カラフル』にも言えることです。ひたすらに心を動かす力に溢れた作品。
二度映像化されているのですが、そこにもこの『カラフル』という作品の”人を動かしていまう力”を感じ取らずにはいられません。

中身を切り出すのはあまり好きな紹介の仕方ではないですが、この作品の魅力が少しでも伝わると思うので一部抜粋して貼っておきます。


この世があまりにもカラフルだから、ぼくらはいつも迷ってる。
どれがほんとの色だかわからなくて。
どれが自分の色だかわからなくて。

 

素晴らしい作品が一人でも多くの人の手に渡りますように…!

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