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一気読み必至の最高に面白いマンガを全部教える【全139作品!!】

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どうも。

学生時代からまともな友人関係をほとんど作れなかった私は、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、いつも物語と一緒にいた。

それは小説であり、映画であり、そして漫画であった。そこには有限の人生を投資するだけの価値があった。

そんな訳でそれだけ時間をかけてきたのだから、せめて誰かと共有したいと思うのが人情である。

 

※関連記事

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みんながワイワイキャッキャと青春したりしている間、こちとらひたすらに物語を貪っていたのだ。物語に人生を費やしてきた。

そんな孤独な私が読み漁ってきた珠玉のマンガたちを紹介したいと思う。

ただし、ただの面白いマンガでは生ぬるい。紹介する条件を付けようじゃないか。

 

ずばり、「一気読み必至!」である。

 

貴重な人生の限られた時間を消費させる名作たちを紹介してみせよう。

一度ページを開けば、すぐさま物語の世界に没入し、気がつけば老人になっていること間違いなしの現実に存在する玉手箱である。

ご使用には十分ご注意を。

 

では行ってみよう。

 

 

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1. ドラゴンヘッド

 

「展開が予測不能」

そんな形容詞がぴったり当てはまるパニックサバイバル漫画の金字塔。

謎の言葉「ドラゴンヘッド」をキーワードに誰も見たことがない世界を体感させてくれる。

ここまで先が気になる漫画は他にないんじゃないだろうか。個人的に超オススメの作品。 

 

 

2. ゼロワン

 

全然有名じゃないけど、『GANTZ』で世界的なセールスを叩き出す前の頃の奥浩哉の「格闘ゲーム」漫画。

空想のゲーム機だけど、作品越しに興奮や快感が伝わってきて「自分もやってみたい!」となること間違いなし。 

 

 

3. うしおととら

 

有名すぎて勧めるのに気が引けるものの、やはり外せない作品。藤田和日郎の凄さはこの作品に全て詰まっていると言っても過言じゃないだろう。それくらいに濃密&深みのある作品。

正直どこまで設定を用意していたのか分からない部分はあるけども、終盤からの伏線や設定が回収されていき、大団円のラストまでは長編漫画としては類を見ないほどの完成度。

さすがである。 

 

外伝も超オススメ。

 

『うしおととら』にハマった人ならば絶対に読まなきゃいけない話がたくさん詰まっている。 

 

 

4. 地獄の教頭

 

教頭、それは地獄。

そんな印象的なフレーズから語られる超強烈な教育マンガ。

生徒、親、果ては教師まで。教頭が「問題あり」とひとたび判断すれば、そこには地獄のような制裁が待っている。

果たしてこの男、聖職者なのか、それとも…。

 

こちらのアプリで無料で読めるので、試し読みしてから購入を検討してもいいだろう。

 

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5. 座敷女

 

新しい都市伝説みたいな恐怖の漫画。

元々ギャグマンガ家だった望月峯太郎は、あの古谷実に影響を与えたりしているのだが、この作品を機にガラッと作風を変えてしまう。

狂気に満ちたイカれた作品ではなく、ちゃんと物語を組み上げた秀逸なホラーとなっている。 

アパートに住んでいる人はゾクッと来るかも。

全1巻。

 

 

6. セトウツミ

高校生ふたりが川岸で、ただただお喋りする様子を描いただけのマンガなのだが、これが妙に面白い。クセになる。何度も読んでしまう。

関西弁のリズム良い会話と絶妙な受け答えは、“センスがいい”としか言いようがない。はい、語彙が無い人間がムリに褒めようとするとこの言葉を使います。おきをつけください。

笑える話が大半を占める一方で、ちょっと泣ける話もあったり、学生時代特有の切なさみたいなものも盛り込んでくるという、小憎らしい作品である。大好き。

 

 

7. GANTZ

 

奥浩哉は読者を誘導する天才である。確実にすべてを狙ってやっている。

そこにあるのは「不安定さ」と「謎」である。

この強力にして魅力的な要素が私たちを「GANTZ中毒患者」に仕立て上げてしまう。

色々と設定が公開されるにつれて魅力を失っていってしまったけど、あの興奮は他の作品ではなかなか味わえないもの。

ラストにさえ期待しなければ最高に楽しめるジェットコースターである。 

 

 

8. ベルセルク

 

ダークファンタジーの金字塔『ベルセルク』である。

 

それは剣というにはあまりにも大きすぎた 大きくぶ厚く重くそして大雑把すぎた それは正に鉄塊だった。 

 

この一文には男心をくすぐる全ての要素が詰まっている。これだけでご飯が何杯でもいける。

 

『ベルセルク』の最大の見所は、「神殺し」を目的とする主人公のガッツが「自力」で強くなろうとしている点であろう。そこにリアルな苦しみと成長を読者は感じ、そして壁を乗り越える達成感を一緒に味わうのだ。

まあそのせいで終わる気配がないんだけどさ。生身が神を越えようとするなんて無茶にもほどがあるでしょ。一体作者はどうやって終わらせる気なのだろうか…。

 

 

9. ママはテンパリスト

 

天才漫画家東村アキコの出世作にして最高傑作である。

正直「女性のギャグ漫画なんて…」と舐めていたし、更には育児漫画だし、全然期待していなかったのだが、奥さんに強烈に勧められて読んだ所、あまりの面白さに驚愕した。 

もし食わず嫌いの方がいたらぜひ試してみてほしい。マジでやられまっせ。 

 

 

10. キングダム

 

アメトーークで紹介されたこともあり、もうすでに知らない人はいないであろう中毒漫画『キングダム』である。

 

私には持論がある。世の中には王道と呼ばれる漫画が常にあるが、それは時代時代でひとつしか存在することができない。

少し前はそれが『ドラゴンボール』であり、『ONE PIECE』であった。 

今は完全に『キングダム』が現代の王道漫画である。

この作品に触れて感動した新しい漫画家が、いまもどこかで芽吹いているのかもしれない、と想像してみるとちょっと楽しい。 

 

 

11. るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-

 

やっぱり必殺技って少年漫画には必要なんだよな。胸が躍るような技が。

飛天御剣流(ひてんみつるぎりゅう)っていう名前からして堪らないし、「九頭龍閃(くずりゅうせん)」とか「天翔龍閃(あまかけるりゅうのひらめき)」とか最高かよ。

大人になってみるとバカバカしいことこの上ないけど、やっぱりこれこそが少年漫画だと思える作品。

個人的には最高の悪役である志々雄真が一番好き。あんなに魅力に溢れた悪役はそうはいない。 

 

 

12. 湘南純愛組!

 

『GTO』ばかりが評価されている藤沢とおるだが、その物語作りの原点はこの『湘南純愛組!』にある。大体にして鬼塚はこの作品の主人公だし。

一応表向きはヤンキー漫画だが、面白さはヤンキー云々とかじゃなく、キャラクターたちが織りなすドラマにある。 

上質なドラマを作り出せる漫画家ってのは本当に貴重だと思う。 

 

 

13. SLAM DUNK

 

みんなが大好きな漫画『SLAM DUNK』である。

連載当初のギャグ漫画っぷりはどこへやら、終盤のセリフさえも無くした試合描写は漫画界の歴史に刻まれている。 

何が凄いって、あれだけたくさんいるキャラクターが全員魅力的って所だと思う。 

 

 

14. マイホームヒーロー

 

娘の危機を救うため、ヤクザを殺してしまった主人公。推理小説マニアの彼は、持てる知識と機転を活かして、家族の平和のために戦う。

 

ミステリー好きには堪らない設定である。

能力的には平々凡々でしかない主人公が追い詰められていく様は、胃が痛くなりそうなぐらいヒリヒリする。絶体絶命ばかりだし。

その分、なんとかなったときの開放感、カタルシスは一級である。

個人的には、原作と作画を分業にしているもの評価したい。やっぱりミステリーはストーリーが肝なので、じっくり練ってほしい。

 

 

15. 火の鳥

 

色々とすごすぎて紹介するのが躊躇われる傑作。

個人的にはこの「黎明編」が一番面白いと思っている。というか全部面白いんだけどさ!

 

「手塚治虫なんて古いの読みたくないよ」と決めつけいているそこのあなた!絶対に人生損してるから、とりあえず読んでみて。手塚治虫がなぜ「漫画の神様」と呼ばれているかがよく分かるから。

名作ってのは時間の流れとは関係ない、といういい証拠。 

 

 

16. SAND LAND

 

マイナーだけど鳥山エッセンスを凝縮したような作品なのでご紹介。ドラゴンボールはあれだけの巻数を出して色んな敵を登場させたりしてきたが、結局やっていることはほとんど同じ。だから『SAND LAND』のように一巻で終了しても全く問題なし。

それにしても、鳥山明が描くあの「小さいキャラクターが異常な怪力を発揮する」演出で感じさせる“怪力っぷり”は本当に凄いと思う。攻撃の重さが伝わってくる。 

 

 

17. GIANT KILLING

 

サッカー漫画だけど、選手は主人公じゃない。必殺シュートも出てこない。なんならチームの経営者とファンのトラブルとかが描かれていたりする。

だがそれこそがリアルなサッカーの現場であり、試合はあくまでもサッカーの一部にしか過ぎないのだ。

選手の能力があり、思惑があり、監督の戦略があり、スポンサーの協力があり、サポーターの葛藤があり、広報が頑張ったり、と全てが繋がってサッカーは出来ているのだ。薄っぺらいものではない。

そんなサッカーの深みと面白さを教えてくれるのに最適なのがこの『GIANT KILLING』である。

GIANT KILLINGの意味は「番狂わせ」。これだけで面白さが伝わるだろう? 

 

 

18. はじめの一歩

 

未だに連載を続けるボクシング漫画の代表作。はじめの一歩からボクシングに興味を持った人も多いことだろう。

この作品の魅力はボクシングの辛さと共に、快感にあると思う。

選手が必死で努力する姿。そして相手を打ち倒す達成感。

勝つ選手にも、そして負ける選手にも物語があり、そこまでの道のりは平坦ではない。

そんなボクサーへの愛に満ちた作品である。

主人公の幕之内一歩よりも他のキャラの方が魅力的だったりする。 

 

 

19. YAWARA!

 

天才浦沢直樹が描く女性柔道家の物語。

才能は確かにあるものの、そこは乙女。強さへの憧れなんてなくて、それよりも恋を求めている。でも強すぎて…という設定からして面白そうな実際に最高に面白い柔道漫画である。

我らが谷亮子の異名“ヤワラちゃん ”はこの作品から取られている。 

 

 

20. BECK

 

バンド漫画の金字塔『BECK』である。

表紙に描かれたツギハギだらけの犬が強烈な視覚効果を担っているが、物語にはあまり関係なかったりする。

それよりも、天才的な歌声を持つ主人公コユキが徐々に世間に認知されていくさまが、堪らなく堪らないんですよお客さん。 

可愛い女の子もたくさん出てくるので期待してほしい。 

全然関係ないけど、ハロルド作石は尻フェチだと思う。

 

 

21. よつばと!

 

ほのぼの漫画の頂点を極めた完全無欠最強にして唯一無二の癒やしをもたらす名作。

天真爛漫を絵に書いたような(実際絵だけど)主人公のよつばがめちゃくちゃ可愛い。

周囲の人たちも優しさに溢れていて、作品のすべてにほんわかさせられる。ここまで来るとほんわかの暴力である。 

 

 

22. 行け!稲中卓球部

 

個人的に地球で一番面白いギャグ漫画。

ギャグ漫画ってのは時間の流れに弱いものだが、この作品の切れ味は未だに通用する。というかこの作品を超えるような笑いの表現ってもう出てこないんじゃないだろうか。 

作者の古谷実はたぶんこれで才能を出し尽くしてしまったのだろう。ギャグ漫画からはもう足を洗ってしまった。というかもう描けないでしょ、こんな傑作。 

 

 

23. 僕だけがいない街

 

連載漫画ってのは連載することが最大の目的になるあまり、展開をムダに引き伸ばしたり、畳めもしない風呂敷を広げてみたり、ムダに新キャラを登場させたりと、ツギハギだらけになりがちである。

だがその点、この『僕だけがいない街』は隙がない。完成させてくれている。

やはり私たちが読みたいのはこういう作品である。作者が思った通りに進め、思った通りに完結させた作品。

物語と絵柄が少し合ってない気がするが、それでも名作と呼ぶに相応しい作品である。 

 

 

24. SPRIGGAN

 

オーパーツを守るスプリガンの物語。

 

出て来るキャラクターがどれもこれもバケモノ級に強い奴ばかりで、最高に興奮できる。

設定といい、物語といい、小道具といい、そしてキャラクターといい、どれも最高。

文句なしに誰にでもオススメしたい大好きな作品。 面白い漫画といえばこれ。

 

 

25. 宇宙兄弟

 

読者を泣かそうと企んでいる作品が大嫌いである。作者の魂胆が見え透いた物語など興醒めにもほどがある。

しかし『宇宙兄弟』には本当の感動がある。本当のドラマがある。登場人物がそこに息づいている。 

ドラマ自体が面白すぎて、正直物語の核になっている宇宙に関してはどうでもよくなってくるほど。 

 

 

26. レベルE

 

このブログではもうすで200冊ぐらい売れている超おすすめの変態漫画。

単独で記事も書いているので、興味がある方はどうぞ。

悪魔が生み出したとしか思えない『レベルE』とかいう傑作について

 

とにかく作品としての完成度が異常なので、一度体感して欲しい。他の漫画が薄味に感じてしまうことだろう。 

 

 

27. ヒカルの碁

 

囲碁を知らなかったとしても、主人公の前髪金髪が気に入らなかったとしても、まったく問題ない。なぜこんなに面白いのか不思議になるぐらいのめり込める最強の囲碁漫画である。

やはり面白い漫画ってのは、題材そのものよりももっと芯の部分で、読者の心を動かす“何か”を持っているのだろう。

そうじゃなきゃ、囲碁のルールを未だに理解していないにも関わらず私が『ヒカルの碁』を勧めている理由が分からない。 

 

 

28. テラフォーマーズ

 

主要人物をあっさり殺してくるので、読んでいて不安になることこの上ない。全然安心できない。味方がどれだけ強くなっても「いや、これさえも伏線なんじゃないか?すぐに死ぬんじゃないか?」と疑心暗鬼にもほどがある。だからこそ目が離せなくなってしまうのだが。

そして何よりも、火星で進化した“あいつら”。嫌悪感を具現化したようなデフォルメは、賞賛に値する。 

 

 

29. 闇金ウシジマくん

 

作者の圧倒的な取材力に裏打ちされた、正真正銘の「現代の闇を切り取った漫画」。

あまりの闇っぷりに、読者によっては心にダメージを負ってしまう可能性さえもあるので、ご使用の際には十分注意を。

ただ、日本には確かにこういう世界があって、自分たちがのほほんと暮らしている世界はあくまでも一部だけなんだと知るにはいい教材だろう。

お金の恐ろしさを知ることができる毒書である。 

 

 

30. まじっく快斗

 

全然連載が進まないのにコナンではほとんどレギュラー化してしまっている怪盗キッドが主人公の漫画である。

未だに4巻までしか出ていないこともあるが、ズババッと読めてしまうのでオススメ。

手品を嗜む自分からすると、作中でキッドがやっている手品はほとんど不可能(SF)である。トリックとかじゃない。 

 

 

31. 赤ちゃんと僕

 

少女漫画はあまり好みではない私だが、この『赤ちゃんと僕』の前ではひれ伏すことしかできない。まさに名作。

ここまで人の心を掴み取れる作品を私は他に知らないし、正直漫画で味わえる感動(泣ける系)は『赤ちゃんと僕』で味わい尽くしたと思っている。 

絵柄の古さは否めないものの、作品の核を担う“ドラマ”は永遠に古びることがない正真正銘の本物が備わっているので、日本人全員に読んでもらいたいレベル。

ちなみに個別の紹介記事はこちら。

泣けるマンガ『赤ちゃんと僕』の感動は色褪せない 

 

 

32. 魁クロマティ高校

 

率直なことを書くと、野中英次の漫画はどれも同じなのでわざわざ「これだけは読んで!」とオススメするのは野暮である。

だがその中でも「まあこれならまだ万人にオススメできる…かな…?」と思えるのがこの『魁!!クロマティ高校』 である。

一体何が「魁」なのか、一体何が「クロマティ」なのかさっぱり分からないまま、ただひたすらに物語がとっ散らかっていくが、それが作品の魅力だと許してほしい。

作者の野中英次に代わって謝罪しておく。

 

 

33. アイアムアヒーロー

 

花沢健吾の才能はどこまで行くのだろうか。 

見たことのない世界をいつまでも読者に提供し続けるというのは稀有な才能である。というか異常である。

一言で言ってしまえば「ゾンビもの」。だがこの作品はそんな安易な言葉でくくるには抵抗を感じてしまうだけの“力”と“魅力”が備わっている。

花沢健吾が用意した最高のジェットコースターで、最高の漫画体験をしようじゃないか。 

 

 

34. 進撃の巨人

 

売れ過ぎ感が否めないものの、やはり紹介せずにはいられない問題作。 

中二病を極限まで突き詰めると「説得力」にまで昇華することを証明してくれたいい例だと思う。

どれだけの妄想タイムを積み重ねればここまで変態的な作品を生み出せるのだろうか。

深遠なる変態の世界を堪能して頂きたい。

 

 

35. 烈火の炎

 

主人公の能力を「炎」に限定しているにも関わらず、ここまで多彩に戦闘シーンを描ききったのは脱帽。 

少しずつ増えていく能力とか、その昔、天才と呼ばれた2人の武器職人が作り出した“魔導具”の設定とか、鉄板のトーナメント戦とか、男心をくすぐる要素に溢れた作品。

幽遊白書のパクリとか色々と言われることの多い作品だが、間違いなく「面白い!」と言える垂涎の漫画である。

 

 

36.ゴリラーマン

 

いきなりこんなのを紹介してしまってすまない。反省している。謝る。だから迷わず読んでくれないだろうか。

『BECK』で超売れっ子の仲間入りを果たしたハロルド作石のデビュー作になる。

ゴリラ顔で絶対に喋らないという規格外の主人公。「主人公が喋らないでどうやって物語を進めんだよ」と突っ込みたくなるが、そこはさすがのハロルド作石。あの手この手で巧妙なドラマを用意してくれている。

不良と青春とギャグとゴリラ顔の四重奏である。 

 

 

37. BLEACH

 

オサレ師匠が織りなす死神たちの物語。

少年漫画の基本をガッチリと押さえつつも、師匠独特の“オサレスパイス”によって唯一無二の漫画に仕上がっている。 

必殺技の効果とかどうでもよくなるぐらい名前がかっこいい。千本桜景厳(せんぼんざくらかげよし)とか大紅蓮氷輪丸(だいぐれんひょうりんまる)とかどんだけのネーミングセンスなんだよと。

 

 

38. さよなら絶望先生

 

ラストの件に関しては私はあまりハマらなかったものの、漫画自体は手放しで賞賛したいと思う。

毎週毎週欠かさず小ネタを集めまくり、よくもそんなに時勢を切り取れるものだと感心してしまうぐらいだった。

キャラとかどうでもよくなるぐらいネタが優秀。 

 

 

39. GTO

 

藤沢とおるが週刊マガジンで休載を連発しながら何とか完結させた名作。

元暴走族の鬼塚英吉が、問題児だらけのクラスを彼なりのめちゃくちゃなやり方で一つにまとめていく過程が快感である。

生徒のひとりひとりに物語があり、葛藤がある中、主人公の鬼塚はある意味「無敵」の存在であり、だからこそ読みながら私たちも鬼塚を信頼してしまうのだろう。

学園モノとか興味なかったけど、『GTO』は別格。必読。 

 

 

40. グラップラー刃牙

 

少年が読むと強くなったような気になる漫画ナンバーワン。

大人が読むとギャグ漫画になる格闘技漫画ナンバーワン。

どちらの読み方をしても最高に楽しめるので、あなたなりの読み方を見つけてほしい。

 

性はヤバかったよね。

 

 

41. 王様はロバ はったり帝国の逆襲

 

誰も知らないだろうけど紹介。

ジャンプの黄金時代に連載されていた異色のギャグ漫画。

一話がほんの数ページしかない中に、作者独特の目線から紡がれる物語が異様な魅力を発揮していた。

紹介しておいてなんだが、形容する言葉があまり見つけられない作品。 

個人的には、「進化の過程で退化してしまった掃除機」の話が悲しくて好き。 

 

 

42. 嘘食い

 

知略を尽くしたギャンブル漫画はたくさんあるが、中でも『ライアーゲーム』『カイジ』と並ぶ名作だろう。

作者がプロットにかなり力を入れているのがよく分かるのだが、あのクオリティを続けるのがキツイのか、たまにバトル漫画になるのはご愛嬌。

やっぱりこういう系の作品で、プロットと作画を高クオリティで維持したかったら、分業制にするしかないだろう。だから『ライアーゲーム』も『カイジ』も作画があれなのだ。

 

 

43. HUNTER×HUNTER

 

地球で一番面白い漫画はこれである。異論は認めん。

 

いやでも本当に真面目な話、これを超える漫画なんてあるのだろうか?とても想像できない。

冨樫はいくらでも休んでいいから、とにかくこのまま『HUNTERXHUNTER』をまともに終わらせることだけ考えて欲しい。飽きたから終了とか勘弁してほしい。 

冨樫の天才っぷりと変態っぷりを思う存分楽しめる最高の漫画である。 

 

 

44. 焼きたて!! ジャぱん

 

グルメ漫画も行っておこうか。

やはりグルメ漫画の最高峰と言えば『焼きたて!! ジャぱん』一択だろう。

何が良いって、まず女の子が可愛い。その次がパンが美味そうすぎて辛い。そして女の子が可愛すぎて辛い。

手の届かない良いものってのは飢餓感を煽るものだけど、『焼きたて!! ジャぱん』は色んな面で読者を追い込んでくる。

ギャグもキレキレだし、悪役も最悪なやつばっかりだし、ただのグルメ漫画の枠に収まらない怪作。 

 

 

45. デスノート

 

この表紙からして期待感がヤバイ。名作の風格が出てまっせ。

大流行したので今更誰に勧めるもんでもないが、それでも紹介しないわけにはいかないだろう。

少年漫画でこれだけの頭脳戦を展開して、しかも売れたってのは快挙だと思う。

設定といい、悪役側からの視点といい、少年漫画の常識を色々と破壊した作品。

個人的には前半だけでも良かったのでは、と思っている。

 

 

46. 魔法陣グルグル

 

私が中学生のときに狂ったようにハマっていた作品なので、少々気後れしてしまうが、まあ大好きなので紹介させてほしい。

基本は剣と魔法の物語。ファンタジーである。

魔法を使うのではなく、地面に魔法陣を描くことで魔法を“発生”させる少女ククリと、勇者に憧れる少年ニケの冒険譚。なのだが、はっきり言ってこれはギャグ漫画である。しかもかなりハイレベルな。 

思えば私が人生で初めて出会った“シュールな笑い”だったかもしれない。

 

 

47. RiN

 

漫画家が漫画家を題材にすると大抵名作になる。この『RiN』も同様である。

大体にしてあの『BECK』のハロルド作石である。彼が漫画家を題材にして面白くならない訳がない。 

なかなか芽が出なかったり、遥か上の才能に心をやられたりと、読者をヤキモキされる展開が秀逸。

ハロルド作石はドラマの作り方を心得ている。 

 

 

48. 世紀末リーダー伝たけし

 

我らがしまブーが犯罪に手を染める前に描いたどうしようもないギャグ&バトル漫画。

表紙の気持ち悪いキャラが主人公なのだが、なんとこの見た目で小学1年生である。どうしようもない設定である。

そもそもしまブー自体がけっこうどうしようもないので、こんな作品になるのも当然かもしれない。

色々とアラはあるものの、ギャグもバトルもキレキレなので「読む価値あり」である。 

 

 

49. 寄生獣

 

まさかの実写映画化された超名作『寄生獣』である。

グロテスクな描写ばかりが目についてしまうが、本質はとんでもなく深く、非常に考えさせられる作品。そして想像を超える感動が待っている。 

残酷だし、孤独感に苛まれるし、恐怖も味わえるし、考えさせられるしで、大人が楽しむには持って来いの漫画である。

本物の学者さんがオススメしていたり、『カイジ』の作者である福本伸行の「オススメの漫画ベスト3」に入っていたりと、各方面からの評価も高い。

未読の方はぜひ。後悔させませんぜ。  

 

 

50. 死神くん

 

ギャグ漫画家のえんどコイチが描く異色のヒューマンドラマ。

人の死に際に現れる「死神くん」と、それを取り巻く人々との触れ合いに、普遍的な感動を味わえる名作。

全然有名じゃないけど、間違いなく最高の漫画体験をさせてくれるので、読むべし! 

 

 

51. アイシールド21

 

非常に珍しいアメフト漫画。

逃げ足の速さだけが取り柄の主人公が、努力と友情を武器に並み居る強豪たちに挑んでいく。

「こんなやつ絶対に倒せないでしょ」と思わせる魅力的な敵キャラもいいし、「こいつが仲間で良かった…」と思わせる仲間たちも最高である。

少年漫画なのでファンタジーな部分はあるものの、作品の中にあるキャラクターたちの葛藤や苦しみ、そして喜びは本物。

やっぱり原作と作画が分業制になっている漫画家はつえーや。 

 

 

52. ブラックジャックによろしく

 

作者がアホなせいでタダで読めるようになった名作医療漫画。

研修医として働き始めた斉藤英二郎がぶつかる医療の最前線の問題たち。まっすぐで理想しか見ていない彼の姿には、魂を揺さぶられることだろう。

そのあまりにも強烈な作風から、批判されることも少なくないが、それだけ人の心をかき乱す力があることの証明に感じられる。 

 

 

53. かくかくしかじか

 

時代の寵児になりつつある超人気漫画家の東村アキコの自伝漫画。

どうしようもないバカ学生時代に出会った、超スパルタな絵画教室の先生との交流を軸にストーリーが進んでいく。

過去の失敗や後悔にフォーカスを当てているので、他の東村作品と毛色が違い、しっとりとした悲しみが底に横たわっている。笑いの要素は少なめ。 

色んな人が勧めているけど、読んだらそれも納得の面白さ。笑いだけじゃないとは、東村アキコ恐るべし。

 

 

54. カイジ

 

ギャンブル漫画の最高峰、『カイジ』である。

私はこの漫画に出会ったことで「漫画って、絵はそこまで大事じゃないだな」と悟りの境地に至った。 

巻数があまりにも出ているので手を出しづらいかもしれないが、『賭博黙示録カイジ』の13巻と『賭博破戒録カイジ』の13巻は鉄板なのでぜひ読んで欲しい。

読者を欺くことだけに特化した、脳みそが喜んでしまう作品である。

 

 

55. 喧嘩商売

 

異端の漫画家木多康昭が贈る、ちょっと真面目な格闘漫画。

「一番強い格闘技を決める」というシンプルにして、強烈なテーマを軸に、喧嘩を得意とする素人の主人公があがき続ける。 

下品極まりないギャグもあったりと、基本的に最低な笑いがベースになっているが、たまに見せる真面目な格闘シーンがいいバランスを保っている。というか、問題児木多康昭がやっとちゃんと漫画を書けるようになったのだと親のような気持ちになってしまった。 

笑えるし面白いし、色んな意味で無敵な作品。ただし読者を選ぶことは付け加えておこう。

 

 

56. べしゃり暮らし

 

よくぞこんな作者泣かせなテーマを題材に漫画を描いてくれた!

他に類を見ない「芸人」を真正面から描いている漫画。人間ドラマを作らせたら日本一の森田まさのりが、芸人の生き様や葛藤を瑞々しく披露していく。

随所に芸人のネタがちゃんと用意されていて、作品を描くためにどれだけ知恵を振り絞っているかがよく伝わってくる。作品から逃げないってのはこういうことだろう。

森田まさのりにハズレなしである。

ちなみに彼の独特な作画でキャラクターたちの口の形があるが、あれはセリフを言い終わったときの口の形を意識しているそうだ。 

 

 

57. 軍鶏

 

ダークな格闘漫画の最高峰『軍鶏』である。

少年犯罪、格闘技、クスリ、友情、憎しみ、家族、などなど数え切れないほどのテーマを抱えながら、「悪魔の権化」とも言える主人公を中心に据えた他に類を見ない作品。

気分が悪くなるような描写が頻繁に登場するし、主人公の性格は最悪だし、というかまともな人物がほとんど出てこない。

だがそれゆえに読者を惹き付けてやまず、中毒患者に仕立て上げてしまうという恐ろしい作品。

途中で設定が変わったり、連載している雑誌が変わったりとか、連載が休止したりとか、作品の外でも色々と問題の多い作品である。 

 

 

58. MMR

MMR?マガジンミステリー調査班?(1) MMR-マガジンミステリー調査班- (週刊少年マガジンコミックス)
 

 

な、なんだってーでお馴染みのMMRである。 

小学生のときに読んでどれだけ「ノストラダムスの大予言」の恐れおののいたことか。

たぶん都市伝説の走りだと思う。

『MMR』はとっくの昔に連載を終えたが、今でも噂を取り上げて騒ぎ立てる世の中の風潮は変わらないので、きっと日本人はこういうのが大好きなのだろう。歴史は繰り返すってね。

 

 

59. 孤高の人

 

タイトルにもなっている「孤高」。それが高みなのか、ただの孤独なのか、それともバカなだけなのか。見る人の視点によって分かれる部分であろう。

主人公の加藤文太郎は明らかに欠如している人間である。見ていて歯がゆい部分が非常に多い。しかしだからこそ、彼がその欠落を抱えながら一人山に向かっていく姿が私たちの胸に強烈に焼き付くのだ。 

坂本眞一の芸術的とも言える作画にぜひとも圧倒されて欲しい。原画展行ってみたかったなー。

 

 

60. 幽遊白書

 

ジャンプの黄金期を支えた名作にして天才冨樫の出世作。 

長期連載をする中で色々矛盾が生じてきたり、キャラクターが変わってしまったりと突っ込みどころはたくさんあるものの、作品の魅力には到底敵わないだろう。

一番の魅力は敵キャラ。残虐だったりとか物凄い技を持っているとかそういう薄っぺらな所では勝負していない。完全に雰囲気で読者を魅了してくる悪役ばかり。

個人的には魔界から帰ってきた頃の話が一番好きだったりする。

 

 

61. 式の前日

 

ネットで非常に評価が高い『式の前日』である。

これだけ騒がれていると私がわざわざオススメする理由もないだろうが、それでも良かったので紹介したい。

 

とは言ったものの、なかなか説明が難しい作品である。

素直に読んでもらうのが一番ではないだろうか。そしてあまりアマゾンのレビューとか感想を読まないようにした方がいいと思う。 

いい漫画にはドラマが付き物だけど、「こういう使い方があったか!」と妙に感心させられてしまった。

 

 

62. リアル

 

日本を代表する絵師井上雄彦が描く「車椅子バスケ」漫画。

障害や青春といった非常に重いテーマを逃げずに“リアル”に描いているので、人によっては読むのが辛くなるかもしれない。

しかしだからこそ見る価値があって目を背けるべきではないのだと思う。

個人的に「嫌なことはしたくない」「見たくないものは見ない」という風潮は嫌いで、“自分とは違う世界”を少しでも知ることが成長だと思っているし、他人を受け入れる多様性の土台になると思っている。 

小難しいことを語ってみたが、とにかく心を揺さぶられるので読んでみて欲しい。「感動した!」とかいう頭からっぽな感想は出てこないはずだ。

 

 

63. 東京タラレバ娘

 

アラサーが読むととんでもないことになる漫画『東京タラレバ娘』である。

東村アキコは本当に読者のツボを分かっている。そんなセンスのいい人間がなぜあんなに韓国ドラマにハマってしまうのかが理解できないのだが、これは完全に偏見である。大体にして韓国ドラマ見たことないし。っていうかそもそも日本のドラマでさえほとんど見てねーや。

うちの奥さんはドラマが大好きだが、もちろんこの『東京タラレバ娘』 も大好物である。声に出して笑ってしまうほどだ。

自虐を作品に昇華するとこんな感じになる。そして昇華させた東村アキコの手腕に脱帽。 

 

 

64. 人間失格

 

異色の漫画家古屋兎丸が贈る、太宰治の傑作『人間失格』である。

現代版にリメイクされているので、物語の端々では原作とは違う流れになってはいるものの、作品の底に流れている「絶望感」や「退廃的」な感覚は生々しく息づいている。気持ち悪いぐらいである。いや、元々気持ち悪い絵柄の作家さんではあるんだけどさ。最悪の原作と合致したことでさらに磨きがかかったようである。 

原作を読んだ印象は「よくここまで人を貶められるな」というもの。

それは古屋兎丸も同じだったようで、「原作ほどの救いのなさは表現できなかった」と語っている。

それでもやはりこの世界観を漫画で表現すると強烈なのは変わらない。心してかかってもらいたい。 

 

 

65. 王様達のヴァイキング

 

孤独な天才ハッカーとエンジェル投資家がITを使った世界征服を目指す話。

というと結構悪役な感じを受けるが、実際には主人公たちは「いいもん」である。

出て来る敵キャラが相当エグいので、なんとか頑張ってほしいところである。

私がプログラミングやITというものに疎いのでどれくらいリアルな描写なのか判断がつかないのだが、それでも圧倒的な迫力を伴っている。 

これが現実世界でも似たようなことが起きていると思うと、結構暗澹たる気持ちになったりする。 

 

 

66. 主に泣いてます

 

美人というだけで人生得している。きっとみんなそう思っているだろう。その価値観に真っ向から対峙してくるのがこちらの作品である。

美人すぎるがゆえに不幸になってしまう主人公を取り巻く群像劇。 

バカバカしい描写ばかりなので、気分転換には持って来いだ。アホらしくて悩む気も吹き飛ぶことだろう。

東村アキコ好きであれば間違いなく読むべきである。

 

 

67. テルマエ・ロマエ

 

こちらもバカバカしさの極地にある作品である。温泉版水戸黄門とでも言うべき、異色の風呂漫画である。

主人公が古代ギリシア人にも関わらず、日本人キャストで奇跡の映像化もされ、「日本の映画会社の大人たちってのはけっこうバカなんだな」と思わされた。とても寛容的な社会だと言える。良かった良かった。 

何の深みもなく、ただただ温泉の気持ちよさが伝わってくるのと、主人公の身に降りかかる問題が解決していく様が気持ちいいだけの漫画である。

ホッとしたいときにオススメである。

 

 

68. I”s

 

日本で一番可愛い女の子を描く漫画家桂正和が贈る、純愛ラブストーリーである。おっさんが紹介するには色々と抵抗があるが、まあ仕方ない。恥を忍んでオススメしたい。 

可愛いが正義だとするならば、こんなにも正義を振りかざす暴力的な作品があっただろうか。可愛いの暴力である。

そんな可愛い女の子たちの心情は描かれることはなく、ひたすら主人公の一貴からの視点で物語は進んでいく。

それゆえに読者も、勿論主人公の一貴も美少女たちの言動にやきもきすることになる。

ああ…この感じ…十代の頃の…初恋の…いや、この辺にしておこう。

 

 

69. All You Need is Kill

 

タイムスリップものの傑作漫画。

小畑健の絵はやはりこういったSFものでこそ最大の力を発揮する。

上下巻だけの非常に短い作品であるが、内容は非常に濃く、ストーリーは練られており、そして小畑健の作画が最高に映える。 

作品としての完成度が高い、一気読み必至の漫画である。

 

 

70. いぬやしき

 

タイトルといい表紙といい、一体どういう漫画なのか全く想像がつかないと思う。 

だが安心して欲しい。間違いなくこれは奥浩哉の作品である。奥浩哉の味しかしない。

もしあなたが『GANTZ』好きなのであれば、この『いぬやしき』も何の違和感もなく楽しめることだろう。というかほぼGANTZである。

作品の中ではいつもの通り、暴力・絆・破壊・抵抗など読者を翻弄するためにありとあらゆる手を使ってくる。

奥浩哉の手の平の上で踊り狂うがいい。

 

 

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71. ギガントマキア

 

ただでさえ『ベルセルク』の連載が滞っているというのに、こんな漫画を描いている場合じゃないだろう、三浦建太郎は。だが面白いから許す。というか続編を描いてくれ、お願いだから。

この設定はきっと、「ガッツをどうやってゴッドハンドと対等に戦わせるか」を考えているときに浮かんだボツアイデアを流用したものじゃないかと勝手に想像している。もうこれで良かったんじゃないかとも思うのだが、こうやって作品として発表してしまった以上、作者はどうやってゴッドハンドに勝つか決めているのだろう。そう期待しておくとしよう。

ああ、なんかベルセルクの話ばかりになってしまった。けどまあいいか。超面白いし、1巻で完結しているのでサクッと楽しめまっせ。 

 

 

72. あずまんが大王

 

元祖何も起こらない系4コマ漫画。

初めてこの作品を読んだときの衝撃と言ったらもう…。言葉にならなかったよ。

女の子が日常を過ごしているだけの作品なのだが、なぜだかいつまでも読み続けてしまう。全然切れ味のないギャグばかりなのに、なぜか笑ってしまう。そんな異次元な作品である。 

何も起こらないこと。キャラ萌え。ほのぼの。ギャグ。

それらを全て中途半端なレベルで、だけど奇跡的なバランスで組み合わせたことで生まれた傑作である。

…いやー、本当に説明が難しい…。

 

 

73. 最強伝説 黒沢

 

おっさんが描く本物のおっさんの物語。

超売れっ子作家の福本伸行にして「自分の中で一番好きな作品」と言わしめている。

『カイジ』や『零』のようなギャンブルは全くなく、泥臭いおっさんのドラマだけが展開される。

哀愁とか憐憫とか色々なものが混ざり合って、読みながらとても居心地が悪くなってしまう私はきっともうおっさんである。悲しい。 

福本伸行はちゃんとドラマも描けると証明した作品である。 

 

 

74. ボーイズ・オン・ザ・ラン

 

かっこ悪いがかっこいい。この作品で初めてその感覚を味わった。

 

主人公の田西はどうしようもない男。好きな女の子に気持ちを伝えることもできなければ、喧嘩のひとつだってできない。いつも逃げてばかり。仕事も勿論できない。

そんな彼が自分のポテンシャルの低さを全部受けとめながらあがき倒す姿が、どうしようもなく私たちの胸を打つ。誰だって大した事ない人間ばかりだ。ヒーローなんかじゃない。

だけど戦うしかないときがある。みっともなさを省みてる場合じゃないときがある。 

逃げて、逃げて、逃げて、でも最後には戦って。そして無様に負けてしまう田西の姿に絶対に心は震えるだろう。

読むと走り出したくなってしまうような作品。

 

 

78. ブラック・ジャック

 

人間ドラマの始祖とも言える漫画。漫画の神様が残した最高の作品である。

法外な治療費を請求する代わりにどんな難病でも治してしまう、無免許の天才医師“ブラックジャック”を中心とした群像劇。 

まあ読んでいない人なんていないと思うけど、もしあなたが未読なのであれば、すぐさま読むべきだ。今すぐ漫画喫茶にでも走れ。こんな記事を読んでいる場合じゃない。

この作品には人生において考えるべきこと、大切にすべきことが詰まっている。それは簡単に教えられるようなものでもなく、答えだって不明確だ。

だがそんな「簡単に答えが出ない」のが人生であり、人間なのだ。

私たちひとりひとりの姿が『ブラックジャック』の中にある。きっと見つけられるはずだ。

 

79. バガボンド

 

天才井上雄彦が自身の限界に挑戦し続けている作品。

面白いので一気読みしたいのは山々だが、作者が苦悩しながら描いているので、そもそも連載が止まってしまっている。

「強さとは何か?」

そんな単純にして永遠の問題に真正面から向き合い、描き切ろうとしている作者の姿勢には頭が下がる。

登場する達人たちの言葉が非常に重く、気付きに満ちている。若い頃に読むと影響されること間違いなしである。 

 

蛇足かもしれないが、『バガボンド』の連載が止まってしまっている理由を教えたいと思う。結構単純である。

『バガボンド』は強さを見つける物語なのだが、もうすでに武蔵は「強さ」の答えを見つけてしまっているのだ。「我」を超えるってやつね。

このままだと小次郎と戦っても、ただ戦うだけで何も成長できない。これだと物語が盛り上がらない。そんな問題にぶち当たっているせいで連載が滞っているわけだ。

井上雄彦自身がインタビューで「一番いい終わり時を逃した」と語っているので、もしかしたらこのまま未完で終わるかも。

 

 

80. インベスターZ

 

ここに入れるかどうか迷ったが、別の意味で“一気読み”なのは間違いないので載せることにした。

天才学生が株やFXなどの投資で儲けるストーリーなのだが、まあこれがギャンブル欲をくすぐる。

主人公が勝てば、読者も擬似的に快感を得られる。非常に射幸心を煽ってくる。 とっても危険だ。これを読んでむやみに投資をやってボロ負けしている人の姿が目に浮かぶようだ。

気持ちよくなるために読むのは構わないが、これを株の指南書にしようと思ったり、煽られてしまうような人は読むべきではないと思う。

パチンコなどのギャンブルから卒業した人が次にハマるのが、投資だというのはよく聞く話である。 

それにしても三田紀房の絵の下手さよ。表紙のあの人差し指を見て欲しい。子供のちんちんみたいになってるじゃないか。

 

 

81. 銀の匙

 

前代未聞の酪農マンガ。そんなマイナーなテーマを扱ってるとはいえ作者はあの荒川弘である。ちゃんと面白くしてくれている。

酪農を通して高校生が成長していく姿を描いた作品。

知らざれる酪農の世界を垣間見せてくれるのだが、これがなかなか厳しい世界で、「簡単な仕事なんてないんだなぁ」とつくづく思わせられる。 

食肉加工などの“屠殺”についても逃げずに描いており、人間の身勝手さや命についても考えさせられる作品である。ただし全編を通して軽いけどね。

少年雑誌で連載しているので、読みやすくするためにあえて軽く設定しているのかもしれない。その辺りのバランス感覚はさすがである。

 

 

82. コウノドリ

 

ドラマ化もされた超リアルな産婦人科を題材にした医療漫画。

産婦人科に勤める私の知人も「ドラマの『コウノドリ』絶対観て!」と語るほど、かなり現場の状況と肉薄した内容なのだそうだ。いやはや恐ろしい職場もあったもんだ。

家庭持ちの私としては、『コウノドリ』を読むと奥さんに感謝の念が絶えないというか、頭が上がらないというか、土下座したくなるというか…。とにかく男の無責任さを痛感した次第である。

これを読んだら奥さんを大事にせずにはいられなくなる。世の旦那たちはみんな読め。そして女性の偉大さを知れ。 

 

 

83. ミュージアム

 

切れ味抜群の全3巻からなるサイコミステリー漫画。

 

雨の日にだけ現れ、残虐な猟奇殺人を続ける「カエル男」と、それを追う刑事の物語なのだが、これがもう…とんでもなく良く出来ている。

作品を通してずっと読者に緊張感を持たせることに成功しており、「映画を観ているようだった」という感想が聞かれるほどである。それだけのめり込んで読んだのだろう。

読者を魅了することが漫画の役目だとするならば、これほど漫画としての役割を果たしている作品はそうそうないだろう。

安易に実写映画化するのは好きではないのだが、これに関しては「仕方なし」と思えるほど“映画的”な作品である。 

 

 

84. 殺し屋1

 

泣き虫だけど、最強にして最恐の謎の殺し屋“1(イチ)”の物語。

殺し屋を題材にしているだけあって、残酷描写のオンパレードなのだが、これは作者が完全に狙ってやっている。読みながら身体を動かしてしまいたくなるほど、あえて「痛そうな」表現を執拗に繰り返してくる。

その結果、私たちは擬似的に登場人物たちの心情を体験することになり、つまりは作品世界に引きずり込まれることになるのだ。

不快なのは間違いない。だけど目が離せないという、悪魔的な作品である。 

 

 

85. め組の大吾

 

こちらも手に汗握る名作である。

バカだけど超人的な勘の持ち主の主人公である朝比奈大吾が、常識破りのアイデアで数々の修羅場を乗り越える。

消防やレスキューを題材にしているので、火災や災害など、ありとあらゆるピンチが描かれている。ピンチであればあるほど、助かる可能性が低ければ低いほど、読んでいるこちら側のテンションは上がる。とっても不謹慎である。だけど興奮するんだから仕方ないだろう?

意外と消防士を主人公に据えた漫画って他に無いんじゃないだろうか?

事件が起きていないときの話もギャップがあって好きである。

 

 

86. 餓狼伝

 

夢枕獏の名作『餓狼伝』を板垣恵介が漫画化した作品。

原作も漫画も両方とも読んだのだが、甲乙つけがたいほどに面白い。私は基本的に原作至上主義(想像力には勝てない)なのだが、さすがの板垣クオリティ。色々と脚色されているおかげで、漫画的快楽を極限まで高めている。 

強い男を「強さ」じゃなくて、「強そうな描写」で読者を引き込む手腕は相変わらずである。

 

 

87. ホムンクルス

 

頭蓋に小さな穴を開けることで、特殊な能力を手にするトレパネーションという手術を受けた主人公。彼の特殊能力によって解き明かされる人間の深層心理を描いた作品。

人の心が異形の姿(ホムンクルス)になって“見える”という一風変わった話なのだが、これがまた訳が分からないのなんのって。

ホムンクルスは相手の心のメタファーを具象化したもの。それがちょっとしたトラウマとかならすぐに理解できる。

だが主人公が相手のホムンクルス状態を解決すると、相手のホムンクルスが感染したりする辺りから分からなくなってくる。

じゃあ何でここで紹介してるのかというと、正直私も分からない。誰か私のホムンクルスを見てはくれないだろうか。

 

 

88. KYO

KYO

KYO

 

 

全然有名じゃないけど面白い作品。紹介しがいがあるというものだ。

これは『ARMS』や『SPRIGGAN』『D-LIVE!!』などヒット作しか描けない漫画家皆川亮二の短編である。なんと全1巻。短っ。

こんなに短いのにしっかり面白い。小さくてもピリリと辛い。一寸の虫にも五分の魂。いや全然関係ないのだが、とにかく面白い。

IQ250の天才少年と、戦闘能力がバカ高いが本当にバカな刑事の2人が数々の科学犯罪を解決するというストーリー。

設定からして最高だし、悪役も天才的だし、頭脳戦とかホントに美味です、はい。

オチも伏線がちゃんと効いていて良し。 

 

 

89. バンビ~ノ!

 

世界一やりすぎなイタリアン漫画。特に続編のSECONDはやりすぎの極みで、ギャグ漫画の世界に足を突っ込んでいる。

が、それでもグルメ漫画の王道を踏襲しつつ、熱くて不器用な主人公が真摯に料理や問題にとり組む姿には素直に感動できる。

技術的な話もあるが、それよりも主人公や周囲の人たちの心の成長などが主に描かれている。

ちなみにだが、私は一応お菓子を専門にしているので、主人公の伴がデザートのコンテストに出場したときの話には納得していない。舐めんな、と思った。 

 

 

90. 高校アフロ田中

 

作風が初期と後期でかなり変わってしまうのだが、どちらにしろ笑えるので許そう。

大体にして主人公がアフロという設定にしているにも関わらず、アフロが話に絡むことがほとんどないという適当っぷりである。

切れ味の鋭い笑いというよりは、真綿で首を絞められるようなじっくりとした攻め方である。 

 

 

91. ちーちゃんはちょっと足りない

 

この見た目でなかなか強烈な毒を食らわしてくる作品。

 

前半部分は『よつばと!』好きであれば許せると思う。私は絵柄がそもそもあまり得意な感じではなかったのだが、何とか我慢できた。

それよりも肝は後半からの展開にある。気を抜いていると心に傷を負うかもしれないのでご注意を。

あまり書くとネタバレになりそうなので、この辺で。 気になる方は読んでみるべし。全1巻。

 

 

92. 20世紀少年

 

浦沢直樹が広げに広げた風呂敷を楽しめる作品。連載当初のワクワク感とミステリアスな「どこに連れて行かれるんだろう?」感は異常だった。さすがです。

作品を通して語られる謎も単純だけど魅力的だし、話の進め方も素晴らしい。まさか時間を飛ばすとはね。

ただ惜しむらくはムダに連載を続けてしまったことだろうか。犯人探しの作品にあれだけの巻数は必要なかっただろう。読者もバカじゃないので、ある程度のアタリは付けてしまうからね。 

 

 

93. らんま1/2

 

バケモノ高橋留美子の傑作である。

この御方もヒット作しか描けない病気に罹られた稀有な存在。私はあまり高橋留美子を読んでいない方だと思うが、『らんま1/2』にはやられましたよ。

設定からして面白いし、ちゃんと格闘もあるし、登場人物たちの関係性とかヤキモキさせられるし。人の心をくすぐるのが上手な漫画家である。 

 

 

94. 多重人格探偵サイコ

 

上質な物語は観るものを作品の中に引きずり込むことができる。

それとはまた違った手法で「作品と現実世界の境界線を曖昧にする」というものがある。この手法によって得られる物語的快楽は経験したことのある者にしか理解してもらえないだろう。カタルシスと似た感じだ。 

残酷描写に加え、物語の中で繰り返される謎や矛盾が読者を混乱の渦へと放り込む。そして異色の存在“ルーシー・モノストーン”…。

作家の変態性がこれでもかと詰め込まれたキワモノである。

 

 

95. CLAYMORE

 

人間を捕食する魔物“妖魔”と、妖魔を倒すために生み出された半人半妖の女戦士“クレイモア”を巡る物語。

ダークファンタジーとして主人公の冒険を楽しむのもいいのだが、それよりも全編に散りばめられた設定の細かさや伏線が最高である。というかそこにこそ『CLAYMORE』の魅力はある。

クソ面白いのだが、ひとつ難点は作者がキャラの描き分けを得意としていないことである。あまりにも人物のパターンが少なすぎる。もっとシャクレとかデブとか出せばいいのに。 

 

 

96. ゴーマニズム宣言

 

バカ学生だった私にモノを考えるキッカケをくれた漫画。一気読みというのとは少し違うかもしれないが、読者の心に影響を与えるという意味では紹介に値する作品だと思う。

説教臭かったりとか、作者の小林よしのりが嫌いな人物をめちゃくちゃ嫌な奴に描いてしまったりとか、色々と非難すべき点はある。だがそれでも作品から伝わってくる作者の熱意は本物だし、何かを変えようとしている人間の作品だと思わされる。

 

個人的に最高傑作は『戦争論』。

 

 

97. 昴

 

『め組の大吾』で大ヒットを飛ばした曽田正人が描く珠玉のバレエ漫画。

まず1番の魅力は表現力だろう。『め組の大吾』のときよりも紙面を通して読者に“印象”をどれだけ与えられるかに心血を注いでいる。圧倒的である。

正直バレエなんてまったく興味がない人種なのだが、彼の筆力に思わず引き込まれてしまった。

ただひとつだけ残念だったのは、主人公のライバルがひとり舞台でやった“アレ”。 

漫画ってのは読者を満足させるために次第にエスカレートしていくものだけど、さすがにあれはやりすぎ。 

 

 

98. キムンカムイ

 

小学生がキャンプに来て、熊の生息する山中に閉じ込められる話。

閉鎖空間系の作品が好きな方はドハマりすることだろう。作者が次から次へと登場人物たちに難題をふっかけるたびに絶望感が増してくる。これが堪らない。

ちなみにキムンカムイとは「山の神」というアイヌ語である。

股間がヒュンヒュンするかも。 

 

個別紹介記事はこちら→閉鎖空間系のマンガが流行ってるけど『キムンカムイ』が最強だから

 

 

99. お~い!龍馬

 

何と原作は武田鉄矢である。さすが海綿…おっと間違えた海援隊である。

ちなみに海援隊とは土佐藩脱藩の浪士である坂本龍馬が中心となり結成した組織である。そして武田鉄矢の率いるフォークグループである。

坂本龍馬フリークの武田鉄矢が原作を務めているというだけあって、色々と上手く行きすぎだったり、嘘設定が混ざっていたり、坂本龍馬が優秀過ぎたりするのだがご愛嬌。

史実として読むよりも、単純に主人公の成長物語として読む方が良いと思う。

 

 

100. エンジェル伝説

 

『CLAYMORE』で有名な八木教広だが、実はギャグ漫画でデビューしていたことをご存知だろうか。それがこの『エンジェル伝説』である。そして私は『エンジェル伝説』が大好きだ。

天使のように澄み切った純朴な人格の持ち主である主人公北野誠一郎は、悪魔の如く凶悪で恐ろしい顔。それは見た人を金縛りにするほどの破壊力。

彼を悪魔と勘違いした不良たちが勝負を吹っかけてくるが、北野誠一郎は喧嘩ひとつできない優しい男。そんな彼がいかにしてピンチを切り抜けていくのかが見どころである。

主人公の北野を通して作者の優しさがじんわり伝わってきて大好きである。ギャグ漫画というのは人を小馬鹿にするものが多いのだが、『エンジェル伝説』に関してはそういった描写がまったくない。実に気持ちよく笑える。というか微笑むという感じ。

 

 

101. 俺はまだ本気出してないだけ

 

タイトルのまんまの作品。

これの実写化を堤真一にするという暴挙。ホントに原作を読んだのか疑うレベルである。いや、これを忠実に再現なんかしたら誰も観に行かないか。

主人公のダメっぷりに笑いながらも、心のどこかで共感する部分があって、何とも言えない気持ち悪さと切なさを醸し出している。この作者がそこまで計算しているとはとても思えないが…。

最終的にはこんな絵柄なのに泣かされてしまうのだから、本当に訳が分からない。

ちなみに映画の方を一応確認したのだが、原作のまんまでビックリした。主人公が冴えないおっさんから堤真一に変わっただけだった。 

 

 

102. 幕張

 

クズの代表である木多康昭の衝撃的なデビュー作。

変態だらけのギャグ漫画なのだが、今こうして思い出してみると、よく少年誌で連載できたなと感心する。ジャンプも人気獲得に必死だったのかも知れない。

ブラックなネタはデビュー当時からまったく変わっておらず、読みながらヒヤヒヤする箇所も少なくない。

センスは確かなのだが、週間連載の負担に耐えきれなかったようで、後半になるに連れ適当になっていくのが玉に瑕。というかそもそも傷だらけなんだけどさ。 

 

 

103. 泣くようぐいす

 

木多康昭がやっとまともに漫画を描くことに挑戦してくれた。挑戦だけで終わったようだが。

最初は野球をやろうとしていたのだが、スポ根的な要素は1%ぐらいである。あとはいつもの木多節である。ギャグ&悪ふざけ漫画になっている。

だが別にそれで構わない。木多康昭は他のマンガ家が足を踏み入れない地に、土足で笑いながら突撃していく様が面白いのだ。危険じゃなければ木多ではないのだ。

こちらも突然終わってしまう(打ち切り?)のだが、それも込みでこの作品の良さになってしまっているのはさすがである。なんだよあのラスト。

 

 

104. すごいよ!!マサルさん

 

一大旋風を巻き起こしたシュール漫画の最高峰『すごいよ!!マサルさん』である。

シュールと適当は似て非なるものである。たまに全然面白くない奴が適当なことを言ってシュールを気取っていることがあるが、クソほど面白くないので止めてもらいたいものだ。 

もしあなたが『すごいよ!!マサルさん』を読んで、「なんだ、笑いって何でも良いんだ。適当なことを言えばシュールになるんだ」と思うようだったら、かなり危険である。気付かない内にクソほどスベっている可能性がある。今すぐ人前で喋るのを止めんだ。 

 

 

105. のたり松太郎

 

ちばてつやと言えば『あしたのジョー』だと思うが私はこの『のたり松太郎』を推したい。というか『あしたのジョー』なんて読んだことねえよ。大体知ってるし。どうせ灰になっちゃうんだろ。結末をバラされてる漫画なんて読まないから。

その点、この『のたり松太郎』は誰も知らないと思う。私だって本屋の息子に生まれなかったら読む機会なんて無かったはずだ。

 

古い漫画だからと舐めないでほしい。なかなかに読者を翻弄してくる漫画なのだ。

主人公が粗暴な才能あふれる力士の卵で、正義とは真逆にいるような存在。彼が本当に嫌なやつだったりするので、成功するとなんだか悔しいし、先輩力士にボコボコにされているのを見ると、なんだか可哀想に見えてしまったりして…。主人公を憎めばいいのか愛せばいいのかよく分からない気持ちになるのだ。

ちばてつやを未読の方はぜひ。 

 

 

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106. 勝手にシロクマ

 

鬼才相原コージの評価を決定づけた作品『かってにシロクマ』である。たぶん誰も知らないと思うので、若干の説明が必要かもしれない。

この漫画、人間はまったく出てこない。動物園の話でもない。一応シロクマが主人公なのだが、北極の話でもないし、しかも主人公のシロクマは喋らない。他の生き物は一応喋ったりするのだが、なぜかシロクマだけ除外されている。

しかしその妙な設定が色々と効いてくるのがこの作品の不思議さであり魅力である。主人公が喋らないからこそ、彼(シロクマ)の感情を私たちは想像しなければならなくなり、余計に面白さが倍増されるのだ。

ほのぼのしたギャグから結構心に来る場面もあり、一筋縄ではいかない作品である。

 

 

107. ONE OUTS

 

『LIAR GAME』で大ヒットを飛ばした甲斐谷忍の異色野球漫画。

ストレート(しかも遅球)しか投げられない主人公が、心理戦を駆使して次々とバッターを空振りにしていくというストーリー。

さすが甲斐谷忍である。こんな限定的な設定でこれだけのパターンを生み出すとは…。

主人公のトーアは野球の素人であり、しかも野球への愛はこれっぽっちもなく、ただただ金のためだけにアウトを取り続ける。その報酬は「1アウト=500万円」。この桁違いの報酬により、相手バッターだけでなく自球団の経営陣との駆け引きも加わり、さらに物語は面白さを増していく。

『LIAR GAME』好きならまったく問題なく楽しめるはず。ちなみに私は野球にまったく興味がなかったが十分楽しめた。 

 

 

108. Happy!

 

主人公が嫌われ者という非常に珍しい設定を取り入れている。

時代を先取りしすぎたゆえにあまり話題にはならなかったが、人間の愚かさや醜さを描き、それでも「生きる」ことの素晴らしさを謳った、いや語りきった作品である。

浦沢直樹は売れる要素を確実に抑えつつも、ちゃんと作品ごとにバリエーションを作っている。

浦沢直樹って本当にすげえなぁ、と感心すると共に腹が立つぐらい才能を見せつけられた。

 

 

109. BANANA FISH

 

少女漫画とは思えないような設定とストーリーに加え、読者を転がすテクニックも有した傑作。

謎の言葉「BANANA FISH」をキーワードに読者を興奮のるつぼに叩き落としてくる。

「人生最高の漫画」と称されることも多い『BANANA FISH』。その面白さは折り紙つきである。試しにアマゾンのレビューをネタバレに触れない程度に眺めてみてほしい。どれだけの人たちが熱狂しているかよく分かると思う。

初期の絵柄は人を選ぶかもしれないが、ここで紹介している漫画たちの中でも屈指の良質なストーリーなので、ぜひ死ぬまでには読んでいただきたい。 

 

 

110. LIAR GAME

 

ヤングジャンプを代表するギャンブル漫画。ドラマ化に映画化にと映像作品の上質な原作として大活躍している。

甲斐谷忍はもう完全にこういった「騙し騙され」を描くことに特化しているのだろう。いくらでもこちらの裏をかいてくる。どんな頭してんだ一体。

問答無用の人気作なので紹介するまでもないだろう。ただ苦言を呈すなら、主人公が強すぎるのと、相手がアホすぎて「負けるんじゃないか?」というハラハラ感が薄いことである。

 

 

111. 賭ケグルイ

 

ギャンブルものをもういっちょ。

学園にいる全ての人間がギャンブル狂という設定の異色の漫画。いくらギャンブルものが流行っているからって、そりゃやりすぎでしょ。

まず原作と作画が分業になっているので、それはそれは高品質。オリジナルのギャンブルは練りに練られているし、絵はめちゃくちゃ迫力がある。やたらと胸を強調してきたり、要所要所でパンツをやたらと見せてくるのは気持ちが悪いが、まあ許そう。とにかく完成度の高い作品である。

読み応えという点で非常に突き抜けた作品。とくに駆け引きっぷりが本当によく出来ていて、「これカイジだったら2、3冊は行けるな」という話が数話で消費されていく。アイデアを出し惜しみしない感じも素晴らしい。

いやでもやっぱりあのパンツがなければなー。ああいうのがガンガンコミックスは好きなんか。興醒めなんだけどな。 

 

 

112. ヒストリエ

 

『寄生獣』の岩明均が贈る古代オリエント世界を描いた作品。

主人公のエウメネス(表紙の人ね)はスキタイ人という設定なのだが、寄生獣の新一と完全に一致しているのは勘弁してあげてほしい。キャラの描き分けが苦手なのだろう。

作者がデビュー前から構想を温めていたというだけあって、随所に作品の濃度を感じさせてくれる。ひとつひとつの話がサラッと流せるものではなく、考え抜かれたもので、面白さがギッシリと詰まっている。漫画にとって濃度は重要なファクターである。 

ただ残念なのは、これだけ壮大にして濃厚な物語なのに、完結もしていなければ、連載さえも滞っていることだろう。未完で終わらせられたら堪ったものではないので、岩明均には血眼になって頑張ってほしい。マジで。 

 

 

113. 予告犯

 

犯行の前にわざわざネット予告をするという犯人。しかもネットで批判されている人間ばかりを狙い残虐な行為に至る。一体何故犯人はそんなリスキーなことをするのただの異常者なのか?謎が謎を呼ぶ、極上のサスペンス漫画。

全3巻なのだが、私は個人的にこれくらいの作品が大好物である。濃密で計算し尽くした作品にしようとすると、大体これくらいの分量になるものだと思っている。しかも謎をぶら下げる作品はあまり長くしすぎると、読者のテンションが落ちてしまったりするから、やはりこれくらいがちょうどいい。コナンの黒の組織とかみんなどうでもいいでしょ?

映画化されたのはきっとこれだけ完成度の高い脚本を書ける人がいなかったからだろう。 

 

 

114. 柔道部物語

 

日本の柔道部員全員が愛しているであろう名作。その名も『柔道部物語』。そのままである。

面白い漫画を描くために、作者は変わった設定や、特異なキャラクター、頭脳戦、豆知識などなど、色んな要素を加える。読者の気を惹こうとする。

だがこの『柔道部物語』は違う。ど真ん中である。真正面から柔道にぶつかっていっている。そこに小細工はない。だからこそ読む人の心を打つ。感動を呼ぶ。

スポ根ものなんていう安易な言葉をこの作品には使いたくない。最高の漫画体験をさせてくれる名作である。 

 

 

115. 波よ聞いてくれ

 

『無限の住人』とは全く毛色の違う作品過ぎて余計に評価が上がってしまうのを抑えられない…。

無名の素人がその特異な“喋り”の技術だけを武器にラジオMCとしてのし上がろうとする話。と醜い恋愛話。

作者が男であることを忘れさせるぐらい、主人公のミナレの心理描写が非常に生々しい。奥さんに読ませたら「絶対に作者は女だと思ってた」とのこと。やはりそれなりの現実感があるらしい。

まあそれはあくまでおまけ要素。この作品の肝は何と言っても、主人公ミナレの“喋り”と“醜態”にある。

彼女が見苦しければ見苦しいほど、もがけばもがくほど、物語に熱が入るのは当然のことだろう。こちらは高みの見物に興じるだけである。 

 

 

116. 翔んで埼玉

 

マツコ・デラックスのおかげで大ブレイクした異色作。

埼玉県人の私としては紹介せずにはいられない。いや本当は怒るべき所なのだろうが、埼玉県人特有の卑しさから「埼玉を全国区にしてくれて助かる」ぐらいの感覚だったのだ。 

話の中身はほとんどどうでもよくて、魔夜峰央の繰り出すギャグを存分に楽しめればそれでいいんじゃないだろうか。ああ大好きだよ魔夜峰央。女装趣味は理解できないけど。

古本屋に行くと腐るほど売っている。ブームが過ぎたあとの寂寞感が凄まじい。

 

 

117. 銀と金

 

『銀と金』。基本的にはカイジ的なオリジナルギャンブルを題材にした作品だが、カイジよりもひとつのエピソードが短く、切れ味が良い。中にはただのギャンブルでなく、殺し合いの場に主人公たちが巻き込まれる話もあり、バラエティ豊かである。

カイジと違い、主人公側の“銀”という伝説的人物が最強なので、読んでいて爽快である。特に最終巻のギャンブルとかマジで…もう…。

めちゃくちゃ面白いのだが、惜しむらくは量が物足りないこと。「もっと読みたい!」と思っても完結してしまっているので、叶うわけもなく…。

それだけ虜にさせられてしまったとも言える。 

 

 

118. 無頼伝涯

 

ギャンブルが絡んでいない福本もオススメである。先に挙げた『黒沢』といい、福本はドラマを描くことだってできる。 

この作品の場合は、孤独な主人公である涯が、無実の罪を着せられその罪を晴らすという内容になっている。

ギャンブルこそないが、「なぜ罪を着せられたのか?」「真犯人は?」「どんなトリックを?」などなど基本的は謎を目の前にチラつかせることで、読者を引っ張っている。

短いし単純な内容なのだが、不思議と何度も読んでしまう魅力がある作品である。 

 

 

119. 賭博覇王伝 零

 

福本続きで申し訳ない。でも、これだけ絵が下手くそにも関わらず、これだけ人気を獲得し、しかも売れ続けているってのは才能がなせる業だとは思わないだろうか?たぶん、女子にはまったく理解できない世界だろうし、何ならこの絵柄は嫌われてもおかしくないレベルである。こんな紙切り頭のキャラなんて、今時福本ぐらいしか描かないだろう。『サイボーグ009 』の時代じゃないんだから。

少年誌で連載していたということもあり、「スピードを意識した」と語っている通り、異常なほどテンポよくギャンブルが進んでいく。なので、福本作品特有の執拗な心理描写はあまりないので、人によっては物足りなく感じてしまうかもしれない。

ただこれだけボリュームがあるので、ゲーム性を楽しむには最高の作品である。効率よく楽しめるとも言える。 

 

 

120. 中間管理録トネガワ

 

福本作品を嗜んでいる方ならこれで笑わない人はいないはずだ。なんだよ「圧倒的バーベキュー」って。

カイジのあのテンションでひたすらトネガワの中間管理職っぷりが表現されている。この面白さは実際に体感してもらいたい。

なんと驚くことに2017年度の『このマンガがすごい!』の男性部門で一位に選ばれたそうだ。

アホである。 

 

 

121. 亜人

 

絶対に死なない存在である“亜人”という人外の存在を巡る物語。

読んでいる最中、「この既視感…一体…?」と思っていたが、これあれだわ。『東京グール』だわ。

平凡な毎日を過ごしていた主人公が突然、人外のモノになる。人ではなくなったモノの戸惑いや葛藤、そして繰り広げられるバトル…。完全に『東京グール』です。ありがとうございました。

別にパクリとか言いたい訳ではない。同じようなジャンルだと思ってもらって構わないということだ。 

アマゾンのレビューで「亜人が虐げられすぎ」という意見が良く見られたが、私はそこまで気にならなかった。というか、読者にストレスを与えて、主人公側に感情移入させるのは漫画の常套手段だし、そんなのばっかだけど。

逆に内容に文句が出るってことはそれだけ夢中になっている証拠である。 

 

 

122. B.B.Joker

 

この表紙を見てどんな漫画だと想像されるだろうか。実はかなりエグめのシュールな4コマ漫画である。

絵柄はとっても少女漫画チックなのに、中身はエグい。そのアンバランスさが絶妙すぎるのと、素直にネタが面白すぎて本当に作者のことを天才だと思ったよ。ちょっと病的だけど。 

4コマ漫画の中では間違いなく最強。

作者が追い詰められていく感じも合わせて楽しめる。まあこれだけのネタはそうほいほい思いつかないでしょ。

 

 

123. 僕といっしょ

 

伝説的ギャグ漫画『行け!稲中卓球部』の次に発表された作品。どうやら稲中で創作熱を出し尽くしたようで、この作品は全4巻と非常に短期で終わっている。

だがその4冊の中には、稲中と同等のギャグに加え「人生って何?」という純粋なテーマを含んでいる。この頃からすでに古谷実の中で、創作に対する姿勢に変化が起こっているようである。

どうでもいいのだが、稲中で井沢が飼っていたおっさんが出てくる。稲中ファンは狂喜乱舞するかもしれない。…しないか。

 

 

124. ROOKIES

 

私は野球が好きではない。当然野球漫画も好きじゃない。全然興味がない。 

だが『ROOKIES』は別である。というかこの作品に野球要素はほとんどない。物語の主軸は主人公たちが織りなす良質なドラマにある。

何度も書いているが、面白い漫画というのは結局は「ドラマが描かれているかどうか」なのだ。登場人物たちに気持ちを乗せられるか、気持ちが揺さぶられるか。それに尽きる。

その点、森田まさのりはドラマの極意を理解している。読者のツボを巧妙に突いてくる。だからこそこんなにもヒット作を連発できるのだろう。 

 

 

125. のぞき屋

 

他人の秘密を覗き見たい欲望ってのは誰にしもあるものだと思う。

そんな人には言えない欲望を具現化したのがこの漫画である。はっきり言って不謹慎な作品だ。

“のぞき” に特化したメンバーたちが、依頼者の指示に従い数々の仕事をこなす漫画。

基本的には探偵ものなのだが、扱う案件はどれもダークで、グロテスクなものばかり。

他人の暗闇に足を踏み入れる勇気がある、そんな人だけが読むべき漫画である。

 

 

126. 特攻の島

 

「絶対におもしろい作品にしようという決意のもと描いています」

日本一暑苦しい漫画家佐藤秀峰がそう語るのだ。面白くならないはずがない。私たちの胸を震わさない訳がない。しかもテーマは戦時中に実際にあった「人間魚雷“回天”」と来ればもう間違いない。

少年たちの葛藤や時代の空気。熱量。そのすべてが読者にのしかかってくる。生半可な気持ちで楽しめる作品ではないことは先に言っておこう。 

 

 

127. ARMS

 

この名作を紹介するのを忘れていた。

「力が欲しいか?」の名ゼリフでお馴染みの『ARMS』である。

伏線とか設定とか語りたいことは山ほどあるのだが、ネタバレするのがあまりにも惜しい!この作品の謎と面白さは自身の目で確かめてもらいたい。

男なら絶対にワクテカしますぜ。 

 

 

128. ヤンキー塾に行く

 

どちらかというとヤンキーに絡まれる側だった自分は、本能的にヤンキー漫画が嫌いである。楽しみたくないという気持ちがある。

たまたま手に取ったのだが『ヤンキー塾に行く』は私に不快感を与えなかった。いや作中で出て来る悪役のヤンキーたちは嫌悪感たっぷりなんだけど、主人公側のヤンキーたちがそれはもう気持ちいい。友情とか義理とかが思いっきり詰まってる。それはもう古臭いぐらいだ。いや青臭いのかもしれない。

ヤンキーたちの陰惨な喧嘩ばかりを描いている作品なのに、こそばゆい微笑ましさが作品の底には流れていて、実はしっかりとした青春モノだったりする。 

 

 

129. 志乃ちゃんは自分の名前が言えない

 

これは…もう…なんだろうね…。

きっと共感してやられちゃう人もいるんじゃないだろうか。あの志乃ちゃんが緊張で言葉が出てこなくなってしまうシーンの描写とか、本当に秀逸。緊張で視野が狭くなって情報が溢れてしまう感じが見事に表現されている。

もどかしさに溢れた作品だが、ラストシーンは鳥肌が立つほどの迫力とカタルシスをもたらしてくれた。

「押見修造がすごい!」というのはよく見かけていたけど、こういうことだったのか。次は『惡の華 』でも読んでみるかね。 

 

 

130. 重版出来!

 

主人公の小熊…じゃなかった心ちゃんがまあ可愛い。こんな部下が欲しくて仕方ない私はしがない中間管理職である。悲しい。

重版出来(“じゅうばんしゅったい”と読む) というのは一度発売された書物が、再び印刷されること。つまりはまあよく売れているといことだ。景気の良い話である。

みんなお金が好きなので景気の良い話も当然好きである。それに加えちゃんと人間ドラマが描けているのだからそりゃあこの漫画が重版出来になるのも当然だろう。

ちなみに表紙のような絵柄ではないので悪しからず。こんなにデフォルメされておりません。 

 

 

131. ZOMBIEPOWDER.

 

オサレ師匠の真価はこの作品にこそ表れている…と個人的には感じている。

『BLEACH』で大ヒットを飛ばした師匠だが、実はその前にこの『ZOMBIEPOWDER.』で派手に打ち切りという憂き目にあっている。

 

話の内容としては、全身に黒い鎧を直接打ち込んだ賞金稼ぎが、不老不死を達成するために「死者の指輪」を探すというもの。

設定がもうすでに最高なのだが、それに加えて敵キャラの嫌な奴っぷりが少年誌のレベルを遥かに越えていて、読みながらドキドキしてしまった。少女に拷問して指を引きちぎるとか…ジャンプじゃ考えられないでしょ。

主人公側も敵キャラも、どちらも文句なしに最強な奴らばかりなので、戦闘シーンがまあ美味しいこと美味しいこと。

全4巻と非常に短いので、手を出すのにはちょうどいいだろう。

 

 

132. グリーンヒル

 

古谷実の最後のギャグ漫画。

なのだが、やはりこの作品にも『僕といっしょ』同様、人生を考えさせるテーマを含んでいる。別に何も考えないで読んでも問題ないのだが。 

この作品を機に古谷実はギャグを一切封印してしまう。何となく『グリーンヒル』の作中にはそれを予見させるような“闇”が垣間見える。

あれだけのギャグ漫画を生み出したのだから、少しぐらいおかしくならないと釣り合いが取れないのかもしれない。

お笑いは狂気だと言ったのは松本人志だったか。 

 

 

133. 働きマン

 

物語というのは登場人物の目を通して、一方からの見方しかできないことが多い。読者が感情移入し、価値観を共有するのが一方向からになりがちなのである。

それによって歪んだ「正義」が生まれる。違う価値観や見方を許容することが出来ない。

『働きマン』では色んな勤め人が出てくる。主人公のようにワーカホリックの人もいれば、仕事は適当な所で終わらせ、その後こそが人生だという人も出てくる。

そのどれもが正解で、そのどれもが何か足りない。

そういった曖昧な視点の漫画なのである。読者は誰に感情移入したら良いのか分からなくなる。もしかしたら人によっては「疲れる」漫画なのかもしれない。「これだ」という正解をくれないのだから。 

やべえ、なんか全然漫画の紹介になってない気がする。まあいいか。というレビューもアリである。 

 

 

134. 七夕の国

 

民俗学の面白さにハマる人は熱狂的に、しかも両手放しで賞賛しがちである。

『七夕の国』を強烈にオススメしてる人たちは自分がマイナーであることを認識した方がいいと思う。 この作品を誰にでもオススメできると思ったら大間違いだ。

これは一部の人のツボに思いっきりダメージを与える作品である。その人には強烈なインパクトを残す。もちろん私もその一人である。

面白いと期待して手に取るよりも、懐疑的に「なにこれ?」ぐらいのテンションで読むのが一番である。やられるかどうかはその人次第である。

なに嗜好なんてのは元来そういうものだ。

 

 

135. 死役所

 

人が死ぬとあの世に行く前に『死役所』で手続きを行なう。そんなお話。

表紙の頭が欠けている女性は実際に頭が欠けている。横から見るとちゃんとアレが見える。事故にあったそのままの姿なのだ。絵があまり上手くないので伝わらないかもしれないが。 

いじめを理由に自殺した少年。事故死した少女。残された者たち。などなど、人の死を扱う作品なので、ドラマには事欠かない。

物語を作る上で最大の山場というのはやはり「死」である。なので、死を扱えば大抵の作品は面白くなると言っても過言ではない。…まあそれでもそれ相応の技術が必要だと思うが。

死役所に訪れる人たちのドラマに加え、死役所で働く人たちにも何か物語が隠されているようで、色々と楽しめる作品である。

 

 

136. プラチナエンド

 

最強タッグ再びである。これまた天使と神の選抜試験とは面白そうな設定を思いついたものだ。さすが大場つぐみである。

小畑健の作画も美麗になる一方で、白黒印刷でしかないはずなのにページが輝いていて眩しいほどである。これもまたさすが小畑健である。

面白さは折り紙付きなのでわざわざ言うまでもないとして、個人的に驚いたのは小畑健キャラの「乳首」が解禁されたことである。

何の雑誌で連載されているのか知らんが、小畑健の描くあの美女たちに脱がせるとはやり手の編集者である。 

 

 

137. シガテラ

 

古谷実作品を推しすぎて申し訳ない。これで最後なので勘弁して欲しい。

大体にして古谷実がこんなにオススメしやすい作品を描くからいけないのだ。

主人公が普通で感情移入できる存在、先が気になって仕方なくなるストーリー、終始作品に漂う不穏な予感、そしてお決まりの恋愛要素。

誰でもやられるでしょ。面白いとかそうじゃないとかのレベルを越えて、「読まずにはいられない」というやつだ。古谷作品はどれもそんな感じ。

ということで読んでみて欲しい。私の言っている意味を分かってくれるはずだ。 

 

 

138. プラネテス

 

名作は人の生き方にまで影響を与える。読み手はその世界観に、登場人物たちの葛藤に、自分自身を重ね合わせ、作品の中に自分を投影する。

駄作だとそれを押し付けがましくやってくる。やたらと「名言もどき」を吐きたがる師匠キャラを登場させたりする(メンターというやつだ)。無理やり読者に干渉しようとしてくる。

しかし『プラネテス』は違う。

自然と私たちに気付きを与えてくれる紛うことなき傑作である。たった4冊の物語の中にあなたの人生観に影響を与えうる要素が「これでもか!」というぐらいに詰まっている。

私たちはいつでも偏ったり、惑ったりしながらその都度軌道修正を繰り返して生きていく。

そんな「偏り」と「修正」がこんなにも美しいのかと、素直に思ってしまった。

気持ちよく笑えて、そして泣けてしまう素晴らしい作品だ。白旗である。 

 

 

139.  行け!!南国アイスホッケー部

 

最低のマンガはたくさんあるけども、これほど最低のマンガはそうそうないだろう。下品にもほどがある。だが面白い。完全に男子高校生のノリである。何が「ハーン」だ。 

久米田康治がまだ洗練される前の、汚れきっていた頃の名作である。

 

 

終わりに

以上が私が自信を持ってオススメする「一気読み必至」の漫画たちである。

まさかこんなボリュームになるとは思わなんだ。記事を書き始めてからすでに1ヶ月以上が経っているという事実も恐ろしい…。

 

私の持論として、「その分野に時間を費やした人しか知り得ない上質な情報がある」というものがある。

漫画好きな人は星の数ほどいると思うが、貪るように、それこそ人生を費やしてまで読む人というのは少ないんじゃないだろうか?

この記事があなたにとって上質な情報になることを願ってやまない。私の苦労が誰かの喜びに変わるのであれば、こんなにブロガー冥利に尽きることはないだろう。

 

面白い作品と出会えたら更新していきたいと思う。

 

以上。 

 

 

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