俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

『never young beach』は居場所を作るバンドである

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どうも。

今回は面白いバンドの紹介である。

時代錯誤

まあ聴いてくれや。

なんともふざけたバンドである。本気でやっているのか疑わしいほどに時代錯誤の音楽だ。公式ホームページで語られている「西海岸のはっぴいえんど」というネーミングは否定のしようがないほど完璧に彼らを表している。

ちなみに若い方は知らないだろうが、『はっぴいえんど』とは1970年代に活躍したバンドであり、メンバーが今の日本の音楽界を背負って立っているような豪華な顔ぶれとなっている。活動期間はわずか3年。きっと個性が渋滞してしまったのであろう。むしろ3年も保ったことのほうが凄いのかもしれない。


風をあつめて はっぴいえんど happyend Kaze Wo Atumete


'Natsu Nandesu' by Happy End

こうやって『never young beach』と並べるとどっちがどっちなのかよく分からなくなる。この落ち着く感じと日本人の感性に根ざした音楽。いいバンドである。

私の耳は70年代、80年代辺りの音楽で感性が止まっているらしいので、never young beachの音楽は懐かしさと同時に、「いつまでもやっててくれないかな」という思いを抱いてしまう。

変わらない音楽性 

never young beachの凄い所というのは、自分たちの音楽をひたすら貫いていることだ。

 

ひたすら脱力、ひたすら気怠い。これだけ夏が似合うバンドも珍しい。

夏休みの何の予定もなく、ひたすら家でゴロゴロしているときのような音楽である。それにしてもこのギターの丸っこい音は何なのだろうか。あのユニゾン具合といい、たまらなく心地よい。

日本で売れているバンドの多くが、激しい曲からしっとりした曲、はたまたジャンルの垣根も超えて手広くやっている。まるでそれはコンビニやイオンのようだ。そこに行けば全部あるというお手軽感。ファンはそこで音楽の全てを満喫できる。

それがいいとか悪いとかいう話ではなく、今の御時世そういうバンドが売れているし、顧客をいつまでも放さないのだということだ。ある種、囲い込みとも言える。

それなのにnever young beachときたら、いつまでも70年代音楽を鳴らし続けている。

それしかできないのか?それともそれしかやりたくないのか?

その真実は私には分からない。しかしその姿は、イオンの登場によって寂れてしまった商店街で頑固に営んでいる魚屋の親父のように見えて、格好良いのだ。

コンビニ化するアーティスト

never young beachのように頑なに自分たちの音楽を鳴らし続けるアーティストは少ない。特にヒットチャートに顔を並べるようなアーティストであれば、手広くやってこそという気風がある。

逆に手広くやらないことを良しとするジャンルもある。

ヒップホップである。

 

 

ラップなんて言ってしまえば、「リズムに乗って喋っているだけ」である。

それで楽曲に変化を付けようと思ったらトラックぐらいしかいじる所がないように思える。

だがそれだとあまりにも楽曲の幅、というか分かりやすさが無くなってしまうので、「売れよう」とか「もっと広く受け入れてもらおう」と考えるとどうしてもこうなる。


さくら by ケツメイシ

元々はケツメイシもラップ主体のアーティストであった。メロディーはサビのみだったのだが、メジャーでの規模を拡大していくに連れ、あらゆるタイプの楽曲を作るようになってしまった。


ケツメイシ 「トモダチ」 MV(フル)

別に否定している訳ではない。売れることは簡単なことではない。これはこれで凄いことなのだ。私は好きじゃなくなったが。

このように今どきの音楽業界は「いかに商品を幅広く揃えるか」というコンビニや量販店的な要素が非常に重きを置かれているのだ。

居場所を作る

だが中には狭い範囲で、楽曲の深さや細かい違いを突き詰めたい客もいる。ヒップホップファンなんかはその最たるものだろう。トラックがどうのとか、名曲のサンプリングなど、マニアになれば分かることがたくさんある。らしい。私もヒップホップは大好きだし、フリースタイルダンジョンも毎週欠かさず見ているが、そこまでは精通していないので語ることができない。でもその「通だと分かる」という感じの楽しさはよく分かる。

そんな「突き詰めたい」「ずっと同じジャンルを聴きたい」という人が一定数いることを分かって欲しい。そういう人にとっては、どこにいっても同じようなものが並んでいるコンビニや量販店ではなく、頑固に営んでいる専門店がいいのだ。

そういった意味でnever young beachは懐古主義の人たちも、素直に彼らの奏でる気怠く緩い楽曲を好む人たちにも居場所を作ってくれるバンドだと言える。

 

ヒットチャートにnever young beachの名前が出てくる所を想像するのは難しい。だが、熱狂的なファンがいつまでも彼らを支持する姿は容易に想像できる。

みんなに好かれるのは難しいことだと思うし、偉大なことだと思う。

それと同時に、一部の人が欲しているものを的確に提供できるアーティストも偉大だと私は思うわけだ。

 

以上。