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物語マニアから見た牛乳石鹸のCMについて。問題点と解決策を提示

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相手に悪意が無いのに叩く風潮は大嫌いなので、解決策を提示する。

 

炎上中

どうも、読書ブロガーのひろたつです。極度の物語マニアです。

 

さて、今回の記事は炎上している「牛乳石鹸のCM」についてである。知らん間に随分と盛り上がっていたようで、その勢いはヤフーニュースでも取り上げられるぐらい。

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後々削除されるかもしれんが、一応問題(とされている)の動画も貼っておく。

 


牛乳石鹸 WEBムービー「与えるもの」篇 フルVer.

 

たかだかCMの内容が意味分からないぐらいで「もう二度と買わない」とか言い出すぐらい沸点の低い方を弁護しようとは思わないが、物語が人に与える影響の大きさを改めて思い知らされた次第である。

 

そもそも物語というのは、見た人の心に何かしらの影響を与えるために存在する。

ゆえに不完全なものを見せられると、途端に観客は怒り出す。 

私も過去にこんな怒りの記事を書いたことがあるので、正直似たり寄ったりであろう。

orehero.hateblo.jp

 

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読書ブロガーとして貢献してみる 

さて、今回の牛乳石鹸のCMであるが、広告であると同時に物語となっている。というかほとんど物語である。

で、私は普段から小説を心も身体も腐るほど読み込んでいる生粋の物語マニアである。なんならその面白さを分析して、こうやって自身のブログで記事にしているぐらいである。

 

これは何か役に立てるのでは…?

(別に企業案件とか狙ってませんよ、牛乳石鹸共進社さん…?)

 

今一度、牛乳石鹸のCMの物語を検証し、何が問題なのか、そして解決策を提示する

牛乳石鹸のCMを作られた方も別に悪気があったわけではなく、ただ単に失敗してしまっただけだ。それをこんなに責められるのはあまりにも不憫である。

いち物語マニアとして、少しでも力になれれば幸いである。

 

では行ってみよう。

 

検証

ここでは、CMの物語を場面ごとに切り取り、観ている人にどんな影響を与えているかを検証していく。これによって、CMの問題点がハッキリするはずだ。

 

冒頭シーン

まずはサラリーマンのゴミ捨てのシーンからスタート。

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普通のオッサンの出勤風景のようである。

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バスの中から流れる景色を見ている姿は少しだけ憂鬱そう。

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◯シーンの検証

①新井浩文がことさら無表情を貫いているせいもあるが、どんな物語がこれから展開されるのかまったく分からない。

②男の心理状態も分からず、見ている側としては疑問だらけのスタートである。当然、牛乳石鹸の存在もまったく感じさせていない。

 

カットバック

バスのシーンで静かにピアノの旋律が鳴り出し、カットバックが入る。

シーンは家を出る前の様子。

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華やいだ様子の奥さんに「ケーキを買ってきて」と頼まれる。

 

映し出されるカレンダーには誕生日の印が。

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奥さんのお願いに無表情&無感情に「はーい」とだけ答える主人公。

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カットバックが終わり、バスの中の主人公のシーンへ。その表情からはやはり何も読み取れない。

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◯シーンの検証

①初見だと誰の誕生日なのか分からない。年齢的に子供がいてもおかしくないが、子供の存在はこの時点では確認できない。

②カレンダーに書いてあった「じゅん」という名前は、主人公でも奥さんでも子供でもありえるために、見ている側はまだまだ物語の筋が見えてこない。

③物語上、感情移入すべき存在である主人公(夫)が、まったく感情を表さないので、見ている側はどうやって入り込めばいいのか分からない。(物語との距離感がつかめない)

職場

ちゃんと仕事をしている主人公。すると横から上司の機嫌の悪そうな声が聞こえてくる。

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目を上げるとそこには、上司がみんなの前で誰かを説教をしている姿が。

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それを無表情に見つめる主人公。

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突然、妻からのLINEが入る。そこにはグローブのイラストと「プレゼントもお願い!」のメッセージが。

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デスクに置いたスマホの待受けは、幸せそうな3人の笑顔。

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◯シーンの検証

①怒られている同僚との関係性は不明。上司が嫌なやつってこと?

②子供の存在を確認。どうやら誕生日は子供のものらしい。

③待受け画像でしかないけど、ここで始めて主人公の笑顔が登場。

④まだまだ物語の本筋は見えないし、主人公の感情も伝わってこない。観ている側の疑問はほとんど解消されず。

 

思い出

シーンがセピア色になり、主人公の思い出らしき場面になる。

ここで始めて主人公の内面が語られる。

場面は主人公の父親が家を出て行くシーン。見えるのは後ろ姿だけで、顔は見えない。

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思い出の父親と対比するように、今度は主人公の後ろ姿が映し出される。そして主人公の独白。

「あの頃の親父とはかけ離れた自分がいる」

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再び思い出のシーンに。そこには主人公らしき少年がひとり、壁に向かってボールを投げている。

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息子のプレゼントを選ぶ主人公。そして主人公の独白は続く。

「家族思いの優しいパパ。時代なのかもしれない」

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ケーキとプレゼントを持って帰宅する主人公。全然関係ないけど、こんなに早い時間に帰れるなんて羨ましい。

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歩道を歩きながら周りを見る主人公。 

 

そこには自分と同じような人で溢れた光景。…だと思っていたら、ここで後輩を見つけてたのね。存在感が無さ過ぎて全然気づかんかったわ。

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ふと立ち止まる主人公。そして独白。

「でも、それって正しいのか?」

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◯シーンの検証

①内面をまったく見せなかった主人公の言葉がやっと聞けたので、物語のメッセージがここで判明するかと思いきや、まだ意味は分からず。

②「あの頃の親父とはかけ離れた自分」というのがどういう自分なのか分かりにくい。「家族思いの優しいパパ」とは言っているけど、主人公からはそういった雰囲気は感じ取れない。むしろ憂鬱そう。こちらは混乱するばかり。

③「でもそれって正しいのか?」という言葉は、正確に書けば「家族思いの優しいパパでいることが正しいのか?」ということなのだが、あまりにも既成概念から離れすぎた疑問すぎて、見ている側はこのスピード感では付いていけない。

つまり、こちら側は「こいつ何を疑問に感じてんだ?」となってしまう。

④後輩の存在感が無さ過ぎて、主人公がなぜ立ち止まったのか分からなかった。

居酒屋

いきなり居酒屋のシーンに。

「俺もあったよ」なんて話す主人公の前に座っているのは、さきほど上司に怒られていた同僚らしい。

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飲んでいる最中に奥さんから電話が入るが、なぜか無視してしまう主人公。

私はこのやり取りを見るまで、このシーンは別の日の出来事なのかと思っていた。

それこそ、主人公が「それでいいのか?」と自問してしまう原因となるような出来事が会った日の。でも違う。普通に子供の誕生日だと分かりながら、居酒屋に立ち寄っている。

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丁寧にお礼を言われる主人公。手にはケーキとプレゼントをしっかり持っている。

お菓子屋の私としては、こんな日が暮れるまで居酒屋に放置されていたケーキがドロドロに溶けていないか心配である。

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◯シーンの検証

①歩道から見下ろしていたときに後輩の姿に気付いたみたいだけど、後輩の存在感が無さ過ぎて居酒屋のシーンに入った意味が分からなかった。

②さきほども書いたとおり、「でもそれって正しいのか?」の疑問に見ている側は付いてこれていないので、まるで別の日の場面なのかと勘違いしてしまった。

③奥さんからの電話に出ない意味が分からない。

④まだ物語のメッセージは分からず。(本当は提示されているんだけど、付いていけてない)

 

帰宅

家に帰ると当然ご立腹の奥様が。

「なんで飲んで帰ってくるかな?」ごもっともです。

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なぜか理由を答えない主人公。「風呂入ってくる」と無感情にその場を立ち去る。

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出たー!牛乳石鹸が出ましたよ!

お湯を流す音をバックに一瞬だけ映り込む牛乳石鹸。これは物語の展開が予想される。

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虚空を見つめる主人公。髪が全然濡れてないのが気になる。

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場面は思い出へと。主人公の独白が入る。

「親父が与えてくれたもの。俺は与えられているのかな?」

ん?自分と親父は違うってこと?結局、親父さんとは仲が良かったってこと?

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ここでも父親の顔は見えず、親子の関係性は把握できない。

 

顔をゴシゴシとこすった後、

「ふとそんなことを思ったり…」

と言っているが、「ふと」という言葉と顔をゴシゴシこする動作がリンクしない。

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◯シーンの検証

①物語のメッセージを把握しようと主人公の内面を追ってきたが、結局分からず。主人公の行動の意味が分からない。

②主人公に感情移入したいのに、脇役だった奥さんに感情移入するハメに。物語のどこに目線を向けたらいいのか混乱してしまう。

③牛乳石鹸が出てきて、さらには主人公の独白が入ったから今度こそ物語のメッセージが語られるかと思いきや、やっぱり分からず。

④主人公と父親の関係性が見えないまま。そこさえ分かれば、もうちょっと物語が見えてくるんだけど…。

⑤顔をこする、という悩みを抱えた人間がする動作と、主人公の「ふとそんなことを思ったり…」という軽い感じの独白がリンクせず、やはり不可解な印象を受ける。

 

風呂上がり~終幕

はい、ここ。一番問題のシーン。

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突然、謝る主人公。

突然、許す妻。

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そして突然、現れる息子。お前どこにいたんだよ。

 

観客を置いてけぼりにしたまま、またしてもシーンは主人公の日常へと移る。

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バスに乗って外を眺める表情は、最初のシーンと比べると明るくなっている。

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ちなみにこれが最初のバスシーン。微妙だけど表情に変化を付けているあたり、新井浩文という役者の上手さが分かる。

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スーツの色も変わってるけどね。

 

そして終幕。最後のメッセージは「さ、洗い流そ。」

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ここまで見た人はみんな思ったはずだ。

「は?」と。

私も思った。

もしかして、意味の分からない物語を見せられて、苛ついたこの感情を「洗い流そ」ってことなのか?そうだとしたら凄えよ。牛乳石鹸の洗浄力。人の心にまで作用するのか。

 

◯シーンの検証

①主人公がいきなり謝る意味が分からない。(キッカケが見えない)

②そんな不可解な行動をする主人公を、圧倒的なスピード感で許す妻。

③暗殺者のごとく存在感を消し去っていた息子。

④何かが解決したらしいけど、何が問題で、どんな解答が得られたのか、さっぱり分からない。

 

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問題点

こうやって細かに見ていくと、この物語の問題点がよく分かる。

この物語の問題点は3つ。

 

①メッセージがどこにあるのか分からない。

②感情移入のさせ方

③答えの用意

 

それぞれ説明していこう。

 

メッセージがどこにあるのか分からない

人は物語を見るときに、「この物語は自分にどう思って欲しいのか?」という疑問を持つ。つまり創作者のメッセージを読み取ろうとする。

ましてや、数分の物語である。分かりやすい形でそのメッセージが提示されるものだと思いこんでしまうだろう。

でもこの牛乳石鹸の物語は「優しいパパをまっとうする自分を疑う」という非常に深いテーマを抱えた作品だった。言い換えるならば「アイデンティティの存在確認」だろうか。

これは数分の物語で語られるには無理のあるテーマだと思う。もうちょっとじっくりと丁寧な描写や時間をかけて語られるからこそ、観客もテーマを飲み込めるだろう。

メッセージが無かったわけではないのだが、観客にとってはその存在を把握できるほど簡単なものではなかった。

 

ましてや、企業の広告CMだと分かった上で見ているので、そんな複雑なテーマが出てくるとは思っていないだろう。普通に良い話が見れるもんだと期待していた人は、きっと足元をすくわれたような気分になったはずだ。

 

感情移入のさせ方

物語と言うからには登場人物が存在する。そしてその登場人物たちの感情の動きこそが物語を生み出す

だから観客に物語を感じさせるためには、まず登場人物に感情移入させなければならない。登場人物になりきらせることで、擬似的に物語を体験させるのだ。

でも牛乳石鹸の物語では、主人公は終始、無表情、無感情を貫いており、見ている人はまったく感情移入できない。

そうなると、見ている人はどこに視点を定めたらいいのか、誰に感情移入してこの物語を見ればいいのか分からず、不安になるだろう。定まらない状態は気持ちが悪いかもしれない。

この物語の中で唯一見ている人と感情が一致するのが、主人公に怒りを露わにする奥さんである。それ以外はまったくもって分からない。

その状態で動画を見終わると、印象に残るのは唯一共感のあった奥さんの「怒り」である。しかもそんな唯一の理解者である奥さんでさえ、意味の分からない主人公を圧倒的なスピード感で許してしまっていて、結局感情移入できない。

これがみんなが抱いている怒りの正体である。

 

答えの用意

物語は簡単に言ってしまえば、「何か特別なことが起こって、それが解決する」というだけのものである。

だから観客は「何が起こるのか?」をまず理解しようとするし、「どうなるのか?」という答えを得ようとする。それが物語の構造だからだ。

なので、目の前に物語が提示された時点で、人は自然と「何かしらの答えがある」と思い込んでしまう。最後の「さ、洗い流そ。」が答えっぽいが、何を洗い流せばいいのかよく分からない。

 

私のように腐るほど物語に触れている人間であれば、答えもクソもない理不尽な作品があることを知っているが、普通の人であれば「理解できる作品」を常に期待してしまうはずだ。しかもこれはなんてったってCMなのだ。分かりにくいもののはずがない、と決めつけてしまうのは仕方ないだろう。

さきほども書いた通りこの物語のテーマは「アイデンティティの存在確認」である。

簡単な答えを用意できるようなテーマではない。

CMである以上、これは明らかな失敗だろう。

 

物語としては悪くないのだが、いかんせん時間が短すぎたし、間の使い方が悪い。

これじゃあ見ている人は飲み込めないだろう。

 

解決策

これらの要素によって、非常に分かりにくく、受け入れがたい物語になってしまっているということがご理解いただけただろうか。決して、物語として破綻しているわけではなく、長さと使い所を間違えてしまっただけなのだ。

 

ということで、以上を踏まえた上で解決策を提示する。

ポイントは、「限られた時間の中で、何を伝えるか?」である。

 

もちろんそれは「さ、洗い流そ。」である。これをテーマに解決策を考えてみた。

 

夫婦ふたりの問題を解決する

まず「さ、洗い流そ。」というメッセージは私の解釈としては「赦し」だ。

誰かなのか、感情なのか、とにかく何かしらの束縛に対して「綺麗さっぱり忘れてあげる」ことだ。

 

となると、物語は以下の流れにするべきである。

 

視点は夫と妻の両方から描き、ふたりの抱える問題を見せる。そしてふたりの問題を解決する流れとする。

 

①仕事で上司に怒られる。

②暗い部屋でひとり悩んでいる様子の夫。

③それを目撃してしまう妻。

④育児に追われて苛立つ妻。

⑤それを嫌そうに見つめる夫。

⑥夫婦喧嘩。

⑦夫が出勤するときに何気なくカレンダーを見ると、今日は結婚記念日。

⑧お互いに気付いたふうだったけど、でも昨日喧嘩したばかりだから目も合わせずに出ていってしまう。

⑨仕事中、ぼんやりして昨日の喧嘩だったり、相手が苦しんでいた様子を思い出す。

⑩帰り道もぼんやりしている夫。周りを眺めたりする。

⑪家に着いたら奥さんと子供がちょうど風呂から出た所。奥さんからそっけなく「いま出たところだから入れば?」と言われる。

⑫そのまま風呂に入る。(ここで牛乳石鹸登場)

⑬湯船に浸かりながら結婚式のときの様子を思い返す。幸せそうだった奥さんの泣き笑いの表情。

⑭顔をこすり、何かを決心したかのような表情になる夫。

⑮風呂から上がり、サプライズのプレゼントを奥さんに渡す夫。

⑯それを受け取りながら、奥さんも実はプレゼントを用意していて、恥ずかしげにそれを差し出す。

⑰笑い合うふたりのそばには牛乳石鹸の箱が。

⑱「さ、洗い流そ。」

 

こんな感じにすれば、分かりやすい感動のストーリーになるだろう。

 

夫だけバージョン

もっと分かりやすいバージョンも考えてみた。

今度は夫だけのバージョンである。

 

①仕事で苦労している様子。上司に怒られているでもいいし、取引先から叱咤されているでもいい。

②雨が降ってるけど傘を持っていない、なんていうとにかく辛そうな描写を繰り返す。

③ミスをしたり、転んだり、弱気だったり、夫のダメダメな部分を全面に押し出す。

④くたびれきって家に帰る。

⑤突然クラッカーを浴びせかけられる。実は自分の誕生日だった。

⑥笑顔で迎える家族。戸惑いながらも喜ぶ夫。プレゼントはネクタイ。

⑦食事が終わり、風呂に入って一息つく。(ここで牛乳石鹸登場)

⑧湯船に浸かりながら今日あった嫌なことを思い出す。

⑨湯水で顔をゴシゴシとこすり、虚空を見つめる夫。

⑩今度は家族との楽しかった思い出が浮かんでくる。一緒に遊んだ公園。じゃれ合った風呂場。さきほど、嬉しそうに自分の誕生日を祝ってくれた家族の顔も最後に出てくる。

⑪何かを決心したかのような表情を浮かべる夫。

⑪翌日の出勤シーン。昨日貰ったネクタイをちょっとつまんで、ニヤニヤする。

⑫「さ、洗い流そ。」

 

ありきたりすぎてダメ出しを受けそうだけど、分かりやすいものには仕上がっている。

 

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まとめ

さあ、長々と書いてきたこの記事もこれで終わりである。まとめよう。

 

・見ている人は勝手に「自分の分かる物語」だと思い込む傾向がある。

・感情移入をさせる対象を定めよう。

・メッセージは分かりやすく。難解なメッセージであればあるほど、見ている人にそれを飲み込む時間を与えてあげること。

・新井浩文は演技が上手い。

 

以上。

お付き合い頂き感謝する。

 

当然、牛乳石鹸のリンクを貼らせていただく。

 

あぁ、蛇足かもしれないが、牛乳石鹸の物語がこんなに複雑になってしまったのは、きっと企画会議のときに「何か新しいものを」なんていう要求が出たからではないだろうか。
上に挙げた私の解決策は、はっきり言ってありきたりだ。斬新さがない。

クリエイトすることは難しい。っていうかみんなを満足させることが難しいだけか。

以上。