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娘に溺愛する父親像を強要されるのがツライ…

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どうも。

先日我が家に子供が生まれた。女の子である。

それは非常にめでたいことなのだが、さっそくウンザリするようなことが連発しているので、愚痴を書き記しておきたい。

決めつけんな

まず言いたいのだが、

「父親が無条件に娘に溺愛すると決めつけるな」

これである。

 

子供が出来たことは喜ばしい。だがな、しわくちゃの胎児を見せつけられて「可愛くて仕方ないでしょ?」と決め打ちで来られても、内心、「いや、全然です!」と思ってしまう。

いくら我が子とはいえ、美醜の判断ぐらいは付く。これでも職場で100人以上の部下を抱える中間管理職だ。冷静に判断することは得意中の得意である。

嬉しいと可愛い(美しい)は違う感情だからな。それは譲れんよ。

 

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生まれる前からフリがすごい

奥さんは3人姉妹なので義父は娘しか知らない人だ。それゆえなのか、非常に娘3人を溺愛している。正直30過ぎの娘を溺愛とかかなり引いてしまうのだが、もう血縁関係である以上、個性として認めようと自らを納得させている。

そんな義父なので、奥さんが妊婦の頃からフリがすごかった。

お腹の赤ちゃんが女の子だと判明した途端、

「女の子は可愛いよ~。生まれた瞬間から可愛いからね~」

と100回は聞かされたが、これも孫の存在に興奮しているからだと観察しているので、まあ納得しているし、受け入れいている。

だがさすがにこの言葉は強烈だった。

 

「娘たちを最初に抱っこしたときに思ったんだよ、『あぁ、この子もいつかお嫁に行ってしまんだ』って」

 

早くね?

 

「それぐらい父親は娘を愛おしく思うものだ」ってことなんだろうけど、私は自分の性格をよく分かっている。何か特別な行事だろうと、思い出の1ページだろうと、感極まることはそうそうない。小説とかではすぐに泣くけど。

 

「この温度差はまずいな」

そんな黒い予感に苛まれていた。

娘が生まれたら飛び跳ねて喜ばないと収集できないぐらいのフリをかまされているのだから。

知らないお父さんのフリもすごい

いくらみんなから「父親は赤ちゃんを見ると喜ぶ」という姿を求められようとも、自分にはできる限界がある。多少はその姿を見せてあげてもいいのだが、ガキの使いでやっているような超ハイテンション芸はとてもできない。それなりの歓喜具合を見せてお茶を濁そうと思っていた。

 

が、である。

 

奥さんの手術(帝王切開)の準備を待つ間、他の赤ちゃんが生まれる所を目撃したのだが、これがキツかった。

看護婦さんが生まれたての赤ん坊を持って駆け寄ってくる。

あぁ、前の人の所、生まれたんだー…ぐらいにぼーっと見ていたら、そこのお父さんが赤ちゃんを確認した途端、

 

「やったーー!超可愛い!うわーっすっげー小さい!」

 

知らないお父さん、超ハイテンション。

 

「なにこれ、なにこれー!すごいんだけど!」

 

どこかのAVで出てきそうなセリフを繰り返す他のお父さん。

「なにこれ」って赤ちゃんですが。

 

私達がいた待合室には20人程度いたのだが、そのお父さんのテンションで完全に空気が染まってしまった。私は完全に見せつけられたのだ、「赤ちゃんを初めて見た父親の理想のリアクション」ってやつを。

そっと隣にいた義父母を確認してみると、「あら素敵ねぇ」と言わんばかりの満面の笑みを浮かべながらその様子を見ていた。

 

「これは…やばい…」

 

生来の恥ずかしがり屋でもある私は、相当な危機感を覚えた。

 

やるしかないのか…?でもあんな派手なリアクション、死んでもできないっていうか、生まれ変わって別人にでもならないとムリだぞ…。くそっ、あの野郎ムダにハードル上げやがって。むしろノーリアクションぐらいで済ませろよ。

 

そんな感じで、奥さんも頑張っていたが私もムダなプレッシャーの中で苦しんでいたのだった。

実際のリアクションをどうしたのかは、ご想像におまかせする。

 

ちなみにスベったと自覚している。 

 

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病院の中でもすごい

奥さんは帝王切開だったので2週間ほど入院しているのだが、その期間、他のお母さんやご家族の方からのプレッシャーもすごかった。

基本的に産科病棟というのは幸せな空気に包まれている。

それは誰もが赤ちゃんを見るたびに「可愛いねぇ」と発声するシステムになっていることからもよく分かる。別に皮肉ではない。私もそれにちゃんと倣っているのだから。

そこまでは構わない。私も他人の赤ちゃんを可愛いと思うし、思っていれば「カワイイ」と発音するのは難しいことじゃない。

だが、赤の他人から「あら女の子?お父さん、可愛くて仕方ないでしょ?」というフリがキツイのだ。

私には「可愛くて仕方がない」というのがよく分からない。可愛さに身悶えしたくなるような感覚だろうか?もしそうなら目の前の30男が、悶ているのを見たいのだろうか?悶絶している様子を見たいのだろか?とても見れたもんじゃないと思うのだが…。

嘘を吐くのが苦手な私はそのたびに「えぇ…はあ…まあ…ね?あはは」と灰色極まりない返事をしていたのだった。

会社でもすごい

会社の中でも同様のことが起きる。

「赤ちゃん産まれたんだって?おめでとう」ぐらいであれば「ありがとうございます。おかげさまで」ぐらいで済む。2秒もあれば十分。お手軽だ。

だが「どう、女の子は?やっぱり違うでしょ?」というフリである。

ちなみに私には長男がいるので、「それと比べてどうか?」という話なのだろうが、ちょっとよく分からない。

我が子の中で優劣をつけろ、ということなのだろうか?私はいつからそんな一族企業の社長みたいになってしまったのだろうか?

私が長男よりも娘の方が可愛いと思っていると何か嬉しいのだろうか。よく分からない。

ただ、会社の人間の場合はお互いの人間性をすでによく理解しているので、「いや別に大差ないですよ」と簡単に済ませられる。

だがこれが何十人にもなると辟易する。

私には100人以上の部下がいるし、色んな部署を渡り歩いてきたから、それこそ事業所にいる1000人ぐらいがみんな私のことを知っている。だから会う人会う人、みんな声をかけてくる。貴重な休憩時間がそれだけで終わってしまうぐらいだった。

 

「もう誰も俺に話しかけないでくれ。おめでとうと言わないでくれ…」

 

祝福の言葉も、積み重なれば騒音と変わらないのだ。くれぐれもみんなは気をつけて欲しい。

まとめ

以上が今回私の身に降り掛かった災難の顛末である。

皆さんからすれば「そんなことで」と思われるようなことかもしれないが、社交辞令が上手くできない人間には、「そんなこと」でさえも苦しみに変わることを知ってもらいたかったのだ。

今回の件でつくづく思い知ったのは、

 

・みんな「テンプレ」を求める

・子供への愛情には個体差がある

 

の2点である。

どうか参考にされたし。

 

以上。

 

余談だが、この本を読んでうちの会社初の「父親育休」を取ることにした。 その話はまた別に機会にでも。

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