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俺だってヒーローになりてえよ

圧倒的な読書量と端から忘却していく貧相な記憶力、ふざけた文章を駆使するポンコツブロガー。 同情されているのか、やたらとオススメ本や漫画が売れている。月商30万円ぐらい。 どうぞよろしく。

セブンイレブンの『ミルク風味の鈴カステラ』を開発した奴は分かってる



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どうも。

 

製菓業界で日々働く私は、当然のことながら菓子好きである。中毒である。病気である。

正直、お菓子がなければこの世に未練はない。いつでも命を捨てられる。愛する家族もお菓子に比べてしまえば大したことではない。もう血縁関係さえも軽んじられるほどに私の人生において重要なファクターなのだ。

なので基本的にはどんなお菓子も「カモン!ヘイ、C'mon!」な私なのだが、たまに傑作としか呼べないような作品と出会うことがある。そう、優秀なお菓子というのは作品なのだ。

セブンが生み出した傑作怪物

それが今回の記事の主役である『ミルク風味の鈴カステラ』だ。

私ぐらいのレベルになると、お菓子のパッケージを見ただけで、どの程度のレベルなのかが分かってしまう。たぶん、一般の方だと味の想像がつくぐらいだと思う。私の場合だと、味はもちろんのこと、裏の成分表を眺めることでどれくらいチープなものなのか、更にはそのお菓子のテーマなども見えてくる。どういった役割をその作品で果たそうとしているのか。それを感じ取れてこそ、本物のお菓子中毒である。

そして私はセブンの店頭でこの『ミルク風味の鈴カステラ』のパッケージを見た瞬間、体に電撃が走った。一瞬で心を奪われてしまった。

 

「こいつはとんでもねえのが出てきやがった…」

 

新たな作品に出会えたという喜び。しかしそれを上回るほどの畏怖にも近い感情。そう、私は『ミルク風味の鈴カステラ』に恐れを抱いたのだった。

鈴カステラの普遍性

私がなぜそんなにも『ミルク風味の鈴カステラ』に恐れを抱いたのかを理解してもらうために、まずは鈴カステラというものについて話をしたい。

そもそも鈴カステラというのは、こんな感じである。

 

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よく100円均一のお菓子なんかで見かけるものだ。

一口大に焼き上げたスポンジ記事にグラニュー糖をまぶした優しい味わいの非常にポピュラーなもの。おばあちゃんの家に遊びに行くと出てくるイメージだ。

 

またはこれだろう。

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夏祭りの縁日なんかで売られている、バカみたいに高いやつである。たぶん原材料費で言えば一個1円にも満たないほどのゴミのようなお菓子だ。ほとんど甘みはなく、冷静に食べれば食えたものではないのだが、夏祭りのアドレナリンが放出されている状態で食べると「美味え!」となってしまう。バカなものだ。

 

このふたつのパターンが鈴カステラと呼ばれるものである。

他愛もない菓子であり、有名でこそあるが、正直それだけの価値しかないと私は思っていた。世に溢れるお菓子の中でも取り立てて目立った武器を持たない貧弱な菓子である。

ただそれゆえに弱点が少ないとも言える。目立った長所というのは人を選んだりするからだ。目立たない存在であるがゆえに、敵を作らない。どこで出されても「まあいいか」という程度で口に入れてもらえる。それが鈴カステラなのだ。

鈴カステラを進化させるには…?

そんな目立たない存在である鈴カステラを進化させようと思えば、いくらでも出来る。しかしそこにはいくつかポイントがある。

まずそもそも、鈴カステラを進化させよう、という視点が必要になる。一般人であればこんな埋もれたお菓子界の脇役を主役に抜擢しようなんて思いつきもしない。

次に味である。たぶん、バカが鈴カステラの進化をさせると「イチゴ味!」とか「チョコチップ入り!」とかその程度だと思う。別にバカでも悪くはない。お菓子なんてそもそも食べてもなんの意味もないものだ。存在意義からしてバカなのだから、開発者がバカみたいに単純な発想で開発するのは当然のことと言える。

その他には食感や、香りなどがある。

とにかくこの地味なお菓子を彩る方法はたくさんあるが、あくまでもそれらは「衣替え」程度のレベルなのだ。正確に言えばそれは進化ではない。変化である。

進化に成功させたセブン-イレブン

はっきり言って、私はセブン-イレブンのお菓子をあまり信用していない。大した価値もないお菓子を包装を小奇麗にしただけで法外な値段で売りつけたりしているからだ。

「売れればいい」

そんな汚い根性が、パッケージから伝わってきていた。

しかし今回の『ミルク風味の鈴カステラ』は違った。完全に狙いに来ていた。傑作を作り上げようという気概があった。

彼らは鈴カステラの進化に本気で取り組み、見事成功させてみせたのだった。

進化した鈴カステラの凄さ

ではその「進化した鈴カステラ」の凄さについてひとつひとつ説明していきたいと思う。

 

まず味。

鈴カステラ特有の、なんとも言えない物足りなさ。それゆえに何個も食べてしまうとはいえ、捕食者を満足させていない事実は消せない。

そこでセブン-イレブンは思い切って舵を切ることにした。甘さへと。

 

『ミルク風味の鈴カステラ』をひとつ手に取り、口に放り込んだ瞬間に感じることは地球人なら誰もが同じである。つまり、

 

 

甘っ…!

 

これである。暴力的なまでに甘い。パンチが効いている。

よくお菓子の褒め言葉で、「甘すぎなくて美味し~い」なんていう鼻クソみたいなコメントがある。

お菓子にそんな生ぬるいものは求めていないのだ。甘いものが食べたくないなら、そこら辺のアスファルトでも舐めてろ。糖分のカロリーが気になるなら、そもそも喰うんじゃねえ。

お菓子ってのは基本的に体への暴力なんだよ。生きる上でまったく必要ないものを摂取することなんだよ。健康だとか、味のバランスとか、そんな真っ当な神経が立ち入る隙なんざ無いんだよ。カロリミットファンケルでも舐めてろ。

 

少々興奮してしまったが、私が言いたいのはそういうことだ。お菓子は振りきれば振りきるほどその存在感を増すのだ。

 

次が食感である。

縁日で売っている鈴カステラは論外としても、グラニュー糖がまぶしてある方はそれなりに触感がある。カステラのほんわりした食感の合間に、グラニュー糖のジャリジャリとしたアクセントが効く。鈴カステラの唯一と言ってもいい武器だ。

しかし如何せん、パンチが弱い。もっと強烈なパンチを捕食者にお見舞いしなければならない。彼らの頭蓋にこれでもかと刺激を与え、脳内の快楽物質を放出させなくては…!

 

その結果、セブン-イレブンが出した結論は糖衣である。正確にはグレーズという。

つまり、鈴カステラに砂糖という糖衣を纏わせることで、強力な歯ごたえを生み出したのだ。甘みを増すこともできるし、一石二鳥である。

 

最後は香り、風味である。

さきほど私が適当に挙げたように、イチゴ味にしたりチョコチップを入れても構わなかった。しかし、鈴カステラというものを見たときに、イチゴもチョコも入っていないことが分かる。つまり鈴カステラからすれば、イチゴもチョコも異質な存在であり、それでは鈴カステラの亜流になってしまうのだ。衣替えであって、進化ではない。

鈴カステラを真正面から見据え、「鈴カステラの最終進化系とは…?」という問いかけの先にあったのが、そう…

 

ミルク風味である。

 

カステラ生地を作るためにはミルクは必須である。元々入っているものに更にミルクの風味を追加させる。これは旨くならないはずがない。

料理の基本として、「同一食材は合う」というものがある。

例えば、ゆでたまごにマヨネーズ。卵に酢と混ぜた卵の組み合わせである。これが美味しいのは誰もが知る所だろう。

他にはカニクリームコロッケなんかもそうだ。小麦粉で作られたホワイトソースに、小麦粉で作られたパン粉をまぶして揚げる。

このように、同じ食材(風味)を持つものというのは、掛け合わせることで更なる高みへと向かうことができるのだ。

スポンジのミルクにグレーズのミルク風味。最強タッグの完成である。

 

この通りである。鈴カステラに対して我々が言葉にせずとも感じていた不満を、セブン-イレブンの開発者たちは完全に消滅させたのだ。

 

 

 

『ミルク風味の鈴カステラ』を店頭で見たときに、私はここまで理解してしまったのだ。体に電撃が走るのもムリはなかったのだと、理解いただけただろうか?むしろ失禁しなかったことを褒めてもらいたいぐらいだ。


GLIM SPANKY - 褒めろよ

※ちなみにここまででこの記事は3000文字を超えている。

 

ムダこそが 

ムダの極みであるお菓子に負けず劣らず、この記事もムダそのものであるが、私がどれだけ『ミルク風味の鈴カステラ』に脅威を感じたかを理解してもらえたことと思う。

セブン-イレブン、今まで完全に舐めていたよ。こんな素晴らしい作品を作る力があったなんてな。まあ他のお菓子は相変わらずだがな。

 

 

蛇足かもしれないがついでに言うと、値段も驚きである。

なんとこれだけ進化に進化を重ねた傑作を、金の亡者として有名なあのセブン-イレブン脅威の108円(税込!)で売っているのだ。

これは投げ売りと言っても過言ではないレベルである。かと言って、内容量が少ないかという訳でもなく、一体なぜこんな低価格が実現できるのか、私のミジンコのような脳みそでは皆目検討もつかないのだ…。

それにしても108円…。人間の煩悩の数と一緒にするとは、何かここにも深い意味があるのではないだろうか…?

 

『ミルク風味の鈴カステラ』を食べる際は、この記事に書いてあるようなムダなことは一切考えず、この傑作から生み出される快楽に溺れてもらいたい。

 

以上。