俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

快刀乱麻が気持ちいい。森博嗣『臨機応答・変問自在』

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どうも。

森博嗣作品の紹介である。

 

作品の紹介

臨機応答・変問自在―森助教授VS理系大学生 (集英社新書)

森 博嗣 集英社 2001-04
売り上げランキング : 347946
by ヨメレバ

ミステリィ作家であり、某国立大学工学部助教授である著者は、学生に質問をされることで出席をとり、その質問に自身が答えたプリントを配布するという授業を、何年間も続けている。理解度を評価するとともに、自主性や創造性などを高めるためである。授業内容に関連するもの以外に、たわいないものから、科学、雑学、人生相談など、学生の質問内容はヴァラエティ豊かだ。本書は、数万にのぼるそのQ&Aから、ユニークなもの・印象深いものを独断的に選び、その面白さの一端を紹介していく。 

この紹介文だけで十分な気がせんでもないが、まあいいか。私なりにこの作品の魅力を語ってみようと思う。

切れ味抜群 

本書の中身はすべて、森博嗣と大学生たちとのQ&Aに終始している。あとがきさえもない。

しかしその内容は非常にバラエティに富んでいる。

そもそも大学生といっても優秀な人間からアホまで様々である。質問の内容だって様々で、まさに玉石混淆。キラリと光る質問もあればクソみたいな質問もある。

それらを頭脳明晰の極みである森博嗣がバッサバッサと切り裂いていく。

アホな質問に真面目に答えてみたり、真面目な質問には抜けている視点を突っ込んだりとその切れ味は抜群である。読んでいてこんなに痛快な気分になる本も珍しい。まさに快刀乱麻である。

Q&Aの例

私がどれだけ「切れ味が良い」と書いたところで、実際のものを見なければ伝わらないと思うので、中身を少しだけ紹介したいと思う。どれも森博嗣テイストに溢れた、秀逸な回答である。

 

Q.傘を広げて降りようとすれば、どれだけの大きさが必要ですか?

A.普通の傘で十分。広げる必要もない。ただし、高いところからで、怪我をしたくない場合は、落下傘ぐらいの大きさが必要でしょう。

 

 

Q.生活から無駄なものを切り捨てていくと、最後に残るのは何だと思いますか?

A.無駄でないもの。君自身が残ることを祈る。

 

 

Q.焦ると何故、人は考えが浮かばなくなるのでしょうか?

A.そういう状態を「焦る」と定義している。

 

 

Q.人前で自己PRを言うとき、どのような方法で、どのような内容を発表すれば、より良いものになりますか?

A.PRできる点が本当にあれば簡単でしょう。

 

 

Q.授業が雑談だけで終わってほしい。

A.森はそのほうが楽で良いけれど、お金を払っているのはそちらだからね。

 

 

Q.この質問内容で本を作ると以前おっしゃっていた覚えがあるのですが、僕はギャラが貰えるのでしょうか?

A.もらえません。君のこの質問では本にならないかも。

 

 

何を問うか

森博嗣は大学の講義で毎回このように生徒から質問を上げさせることで、生徒の評価をしているそうだ。

良い質問というのは場を活性化させ、新たな知見をもたらすことがある。問題を早期に発見することもあれば、より良い方法を見つけるきっかけになったりする。

たしかに仕事をしていても、部下の質問を聞くだけで「そのレベルか…」と理解できる。質問の質というのは本人の理解度だけでなく、どの程度のレベルにいるのかを把握するためにとても役立つ。

これは自分に対してもそうだ。自分に「一番大事なことは何だ?」というような的を得るような問いかけをすることは人生を劇的に向上させる。

答えることにひらめきが必要なように、効果的な質問にもひらめきが必要だったりする。

視野を広げよう

他の著作でもそうだが、森博嗣は常に自由な見識を持っている。柔らかいとも言える。そして一貫して、周囲に「脳は自由であるべきだ」と語っている。別に強制はしていない。

そうあることで、無駄な悩みに振り回されることもなく、ストレスから開放された生活を送れる。…らしい。少なくとも森博嗣からはストレスのようなものはまったく感じない。非常に羨ましいものである。(奥さんには手を焼いている様子が伺えるが…) 

森博嗣ぐらい明晰な頭脳があればどんな悩みも一瞬で解決できそうであるが、私のような凡人の場合、ひとつひとつの悩みに戸惑い、悩み、散々振り回された挙句、「まあいいか」となる。自分の能力の低さを嘆きたくはなるが、まあそれこそ言っても仕方のないことであり、「まあいいか」とするべきである。

無駄なことに思い煩わないためにも、常に自由な思考を持ちたいものである。

最後にこのQ&Aを紹介して、この記事を終わりにしたいと思う。

 

Q.先生は自分が好きですか?

A.考えたことがない。好きでも嫌いでもしかたがない。君は空気が好きですか?水が好きですか?地球が好きですか?もし嫌いでも、他に替わるわけにいかないでしょう?

 

 

以上。

 

ちなみに続編も発刊されている。

 

臨機応答・変問自在〈2〉 (集英社新書)

森 博嗣 集英社 2002-09
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by ヨメレバ