俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

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自分の嫌な経験を次の世代に繰り返す欲望。人は神になりたい欲望を抱えている。

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努力教に通じるものがありますね。

同級生の話

私の高校時代の同級生に恐ろしくダサい名前の女の子がいました。
直接書くと色々と問題がありそうなので避けますが、仮に「豚子ちゃん」とでもしておきましょうか。

豚子ちゃんは明るい性格で誰からも愛される存在だったのですが、こと自分の名前の話になると苦虫を噛み潰したような顔をして「この名前嫌い」と語っていました。
私を含め、周りにいた人間はことあるごとにその名前をいじっていました。まあ学生生活のいいスパイスですよね。豚子ちゃんも弱っちい子ではなかったので、周りからいじられても「うるせえ」ぐらいの返しをしていました。

そんなある日、放課後に部活が始まるまで時間があった私は、豚子ちゃんとおしゃべりをしていました。その会話の中でふと彼女がなぜそんなにダサい名前になったのか、その驚くべき理由を語ってくれました。

実は豚子ちゃんには6つ年上のお姉さんがいました。
そのお姉さんの名前がなんと「豚美」だったのです。※もちろん仮名ですよ。ただ語尾が違うだけでほぼ同じ名前です。

その豚美お姉さんも自分の名前が大嫌いで育ちました。そして豚美お姉さんが小学1年生のときに妹が生まれることを知りました。その時彼女の頭をある思いがよぎります。
妹が自分よりも可愛い名前になるのはイヤだ
お姉さんは両親に提案しました。

「妹の名前は”豚子”にしようよ」

こうしてお姉さんの呪いは無事、妹へと引き継がれたのです。めでたしめでたし。

後輩にムリをさせたいオバサン

似たような話が職場でもあって。
私の職場は人の入れ替わりが激しい一方で、古参のパートさんが数多くいます。

そんなパートさんには新人の教育係をお願いする機会が多々あるのですが、たまに気になる光景を見かけることがあります。

普段であればしないような回りくどいやり方を教えていることがあるのです。当然教えられている新人さんは四苦八苦しながら作業を行なっています。
通りかかった私が「どうしてこんなやり方をしてるんですか?」と聞くと、恐ろしく皆同じ答えを返してきます。

私も最初の頃は苦労したのよ

私の胸の内に何か恐怖に似た感情が湧き上がりました。

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試練を与える側になりたい

これらが何かと言うと、人は試練を与える側になりたいということなんですね。

普段の生活は思い通りにならないことばかりで、仕事にしてもやらされることが大半で、そこには自分の意志は介在しません。ただ与えられたことに対して黙々とそして従順に取り組むのみです。

文句や不満はあっても、「仕方ない」という諦めの気持ちがほとんどを占めています。

そんな中、自分に”試練を与える機会”が与えられたらどうでしょうか?
いい憂さ晴らしにならないでしょうか?

一瞬であれ、人の人生をコントロールする機会が得られるのです。これは快感ですよ。

誰も神ではありません

この”他人に試練を与えたい感情”を私は「神になりたい欲望」だと考えます。

きっと抑圧された生活を送っている人ほど、この願望を強烈に持っているのでしょう。
考えてみれば、世の中の娯楽のほとんどはこの「神になりたい欲望」を満たす要素で溢れています。

ゲームにしろ、映画にしろ、何かの人生を蹂躙することで快感を得るような作りになっていますよね。みんなそのことに気付いているでしょうか?かなり趣味が悪いですよ。まあ仮想空間の話ですけどね。


自分がした嫌な思いは、下の世代にさせる必要はありません。自分が嫌な思いをしたからこそ、改善するべきです。それこそが人間的な進化です。悪しき習慣を繰り返すのは、過去の自分がした体験の復讐でしかありません。復讐は何も生まないってのは真なのですね。

目を覚ましましょう。あなたは神ではありません。そして誰も神ではないのです。
神になりたい欲望を抑えられる人間かどうか。それを理性と呼ぶのかもしれませんね。