俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

知り合いに勧めて好評だった小説11冊目『ハサミ男』殊能将之

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◯今は亡き著者

亡くなったんですよね、殊能将之。49歳ですか…まだ若かっただけに貴重な才能が失われてしまって残念でなりません。

ミステリー好き以外の方にはほぼ名が知れていないと思うので、一応紹介しておきます。

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殊能将之は1999年に本書『ハサミ男』でメフィスト賞を受賞してデビュー。素性を全く明かさない覆面作家でした。私も顔を拝見したのは今が初めてです。名前もペンネームで『楚辞』の一編、屈原「天問」の“殊能将レ之”(しゅのうもてこれをひきいたる=特殊な才能でこれ“軍勢”を率いる)という言葉からとられた、とwikiに書いてありました。ペンネームに代表されるように膨大な知識と教養を詰め込みつつも、非常に皮肉的な文体が特徴の作家さんであります。

◯寡作な中でも文句なしの最高傑作!

殊能将之はそもそも発表作自体が少ないのですが、それでも『ハサミ男』は彼の最高傑作だと言えます。というか他の作品があまりにも挑戦的すぎて、普通のミステリーを求めている方が読んだら

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こうなること請け合い。

そんな変人とも言える著者ですが、『ハサミ男』は一般的に受け入れられました。著者のひねくり曲がった性格とトリックが見事にマッチした結果と言えましょう。他の作品については完全にこじらせています。それはそれで面白いんですけどね…。

◯ミステリー初心者にこそ読んで貰いたい

内容を語ると面白さが半減してしまうので、多くは書けません。ただ、この作品は出来ればミステリー初心者にこそ読んで貰いたいです。今までに1000冊以上の小説を読んできた私が言うのですから間違いありません。
小説を面白さを損なう大きな要素として”慣れ”があります。特にミステリーはトリックのアイデアが限られているので、「またこれか…」となりがちです。

参考⇒1000冊以上読んだ私が教える、面白い小説を見つけるための5つのポイント 

で、『ハサミ男』もご多分に漏れず同じ要素を持ち合わせているので、変にミステリー経験値を積んでから読んでしまうとガッカリする可能性が大きいです。逆に言えばミステリー初心者がピチピチの状態で読んだら、今までに経験したことのない衝撃を受けられます。

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◯内容紹介

ではいつも通りBOOKデーターデースより。


美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。三番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作。
 

メフィスト賞受賞!”なんて今はギャグの領域に入ってきていますが、『ハサミ男』はまだちゃんとしているのでご安心を。今のメフィスト賞はゲテモノ市みたいになってますからね。
まあそれは置いておくとして。

ハサミ男』は映像化もされています。主演は豊川悦司。私は好きな小説の映像化作品は観ない主義なので、どんなものなのかは分かりませんが、2ちゃんねるでの評価は概ね上々でした。私は観ませんけどね。

映像化されるということは、それだけストーリーに人を魅了する力があるってことですからね。力の無い作品は人を動かすことは出来ませんから。「みんなにこの物語を伝えたい!」と思わされた人間がこうやって映像化にこぎ着けて行くのでしょう。

まあそれでも小説の『ハサミ男』を超えることは絶対に出来ないでしょう。この作品を凌駕するには余程の才能と運が無いと無理です。ここで言う運というのは、良質なアイデアと出会う運のことです。数多くの表現者達はこの”運”と出会えずに一生を終えますから。著者自身も『ハサミ男』を超えることは出来ないと感じていたと思います。

さあ、地味なタイトルかもしれませんが内容は刺激に満ちた素晴らしい作品です。ぜひ、ご一読を!

ハサミ男 (講談社文庫)

殊能 将之 講談社 2002-08-09
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