俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

知り合いに勧めて好評だった小説9冊目『儚い羊たちの祝宴』米澤穂信

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◯2014年『満願』で直木賞の候補に

今ではすっかり売れっ子になってしまった米澤穂信。昨年発表された『満願』は直木賞の候補にも上げられるほどの実力を付けました。直木賞は作家自身に送られる意味合いが強いので、また彼の本が売れるようになるのは間違いないでしょう。いい作家さんが評価されるのはいい事です。良かった良かった。

◯じわじわと実力を付けた著者のヒット作

米澤穂信のデビューは早いです。23歳の時に書店員をしながら書いた『氷菓』が第5回角川学園小説大賞ヤングミステリー&ホラー部門奨励賞を受賞しデビュー。その後はオタク気質に溢れる作品を次々と発表し、小粒ながらも確実に良質なミステリーを書くことから、ミステリー好きの間では非常に評価の高い作家さんでした。

そんな米澤穂信が作家として脂が乗った30代の初め頃に生み出したのがこの『儚い羊たちの祝宴』でございます。みんなこの作品には度肝を抜かれたもんです。私も大好きすぎて何度読んだか分かりません。

◯企みに満ちためくるめく世界

書店で帯に書かれた文句を読んで私は速攻で購入を決定しました。曰く「最後の一撃、フィニッシングストロークにこだわった作品」とのこと。

これは期待させます。驚愕の展開の中でもフィニッシングストロークは最強のものです。
最後の一文で世界がひっくり返るなんて例えるなら、ミステリーの醍醐味をぎゅうぎゅうに詰め込んで口の中に無理やり押し込むだけじゃ飽きたらず、脳みそに直接快楽物質を注入するようなもんです。意味が分かりませんね。とにかくそれだけ極上の小説体験が出来るってことです。しかも短編集なので衝撃は1回では終わりません。2度3度、繰り返し私達が作り上げてきた世界を破壊してくるのです。その後の余韻は筆舌に尽くしがたいものです。

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◯内容紹介

BOOKデーターベースより


夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件。甘美なまでの語り口が、ともすれば暗い微笑を誘い、最後に明かされる残酷なまでの真実が、脳髄を冷たく痺れさせる。米澤流暗黒ミステリの真骨頂。 
 

脳髄を冷たく痺れさせる、なんて素晴らしい紹介ですね、まさにその通りです。この快感はなかなか体験できるものではありません。
驚愕の展開という触れ込みで小説や映画を売り込もうとするのをよく見かけますが、ほとんどがこけおどしです。『殺人鬼フジコの衝動』には騙されたな~。日本中の書店全体で読者のこと騙しにかかってきたからなぁ。あんなクソみたいな作品を読まされるのは勘弁です。
話がそれました。そんな有象無象な作品群とは一線を画すのがこちらの『儚い羊たちの祝宴』です。正直な所、作家の米澤穂信自身、これを超える作品は作れないと感じていると思います。それほどまでに突き抜けたクオリティを持った作品になっています。

極上の小説体験をどうぞ!

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

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