俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

知り合いに勧めて好評だった小説3冊目『掏摸(スリ)』中村文則

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もう楽天から8千円は貰いましたか?

◯人に勧めたいと思わせる小説

売れてますね~、中村文則。彼が売れるきっかけになったのが今回紹介する『掏摸(スリ)』です。
書店員の間では発売当初から評判の良かったようで、いたる所で手書きのポップを見かけました。アメトークの読書芸人で又吉が勧めていたのも、爆発した大きな要因でしょうね。

書店でこの本を目にしたとき、小説マニア特有の勘で「これは絶対に面白いぞ!」とピンときました。今じゃ店員さんの手書きポップなんて珍しくなくりましたが、それだけに情熱が乗っているポップかどうかは私ぐらいになると、すぐに分かります。
特にこの『掏摸(スリ)』は書店員の本気の圧力、”推し”を感じることが出来ました。

つまりこの本は人に勧めたくなるほどの力を持っているということです。

◯次世代の旗手”中村文則

そして作者の中村文則ですが、これから間違いなく日本の小説界を背負って立つ男になります。もしかしたら今の時点ですでになりつつあるかもしれません。
というのも、掏摸(スリ)でブレイクを果たした彼ですが一発屋では終わっていません。
その後、発表された『教団X』は現時点で彼の最高傑作と呼ばれるほどの作品に仕上がっています。
更に『掏摸(スリ)』は日本のみならず、海外でも高い評価を得ています。ウォールストリートジャーナル紙で2012年の小説ベスト10にノミネートされたそうです。私にはいまいちどれくらい凄いのか分かりませんが、きっと大変なことなのでしょう。

もちろん、彼はぽっと出の作家でもありません。売れるまで地道に作品の発表をコツコツと続けていたので、地力もあります。簡単につぶれるような作家ではありません。

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◯本の内容

毎度の話ですが、ここまでで『掏摸(スリ)』に興味を持ってもらえたのあれば、予備知識はこのぐらいにして読んでみるのが一番です。
小説を楽しみたいのであれば、あらすじさえも余計です。頭からっぽの状態が一番、物語に没頭できるのは間違いありません。

ということで、ここまでで納得できない方の為に『掏摸(スリ)』のあらすじと何がそんなに人を惹きつけるのか、その理由を説明したいと思います。

まずあらすじ。いつも通りBOOKデーターベースから拝借します。

お前は、運命を信じるか?東京を仕事場にする天才スリ師。彼のターゲットはわかりやすい裕福者たち。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。
男の名は木崎―かつて一度だけ、仕事を共にしたことのある、闇社会に生きる男。木崎はある仕事を依頼してきた。
「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。もし逃げれば…最近、お前が親しくしている子供を殺す」
その瞬間、木崎は彼にとって、絶対的な運命の支配者となった。
悪の快感に溺れた芥川賞作家が、圧倒的な緊迫感とディティールで描く、著者最高傑作にして驚愕の話題作。

…やばいっすな。すでに読み終わっている私でさえも、もう一度惹き込まれてしまいますね。

◯なぜ惹き付けられるのか?

この作品にはたくさんの魅力があります。
キャラクターそれぞれが苦しみを抱いており、血が通っています。ストーリーもエンターテイメント性があるもので、ハラハラドキドキ要素十分です。また、作者の描写力もすさまじいです。特に冒頭などに見られるスリの描写では、読んでいる私達にもスリ師の手の感覚が伝わってきます。これは簡単に出来ることではありません。

そんな魅力たっぷりの本ですが、最大の魅力は”最悪の男”木崎にあります。
最悪と紹介されていますが、キャラクターとしての魅力は最高です。登場の仕方からして今までのどんな悪役よりもインパクトがあります。
そんな木崎を魅力たっぷりに仕上げている要素として大きいのが、読者の”想像力”を駆使していることです。
裏社会を牛耳っているかのような言動、きな臭い周囲の事件など木崎という人間の底なし感を煽ってきます。
この”底なし”の悪に対し、私達読者の想像力が刺激されるのです。それぞれがそれぞれに最悪の男を自分の頭の中に創り出してしまう…。

作者の中村文則がどこまで計算して木崎を創り出したのかは分かりませんが、これが狙ってやっているのであれば恐ろしい限りです。読者の想像に委ねる。それ以上にキャラクターを魅力的にする方法はないでしょう。

あなたの創り出す”最悪の男”はどんな顔をしているのでしょうか?
さあ、会いに行きましょう。
 

掏摸(スリ)

中村 文則 河出書房新社 2009-10-10
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