俺だってヒーローになりてえよ

何が足りないかって、あれだよあれ。何が足りないか分かる能力。

部下100人を抱える私が落ちこぼれだった時の話~入社編~

avadamage_top

 

どうも、ひろたつです。

何も自慢できることがない私だが、唯一誇れることが「部下が100人いること」である。
適当でなんの計画性もない私がなぜそんなにも会社から信頼されているのかは、謎としか言いようがないが、それでも評価されているのは事実。

しかしそんな私だが、最初から成果を上げていたわけではなく、むしろ入社当時は落ちこぼれ街道をまっしぐらだった。

後輩にそんな私の落ちこぼれエピソードが好評で、せっかくなので記事にしてみた次第である。こんな恥さらしなこともなかなかないだろう。

もし今、自分に自信がない方がいたら、私の体験を読んで励みにしてもらえたらと思う。気分が下がっているときは下にいる人間を笑うのが一番の特効薬である。

そして、もし笑ってくれたら、入社当時自分に自信がなくて死にそうになっていたあの頃の私が浮かばれるというものである。

ぜひ供養に手を貸していただきたい。

 

スポンサーリンク
 



凍りついた入社式 

忘れもしないあの日。

私は桜並木を抜け、入社式が行なわれる会場に向かっていた。

当時、私の会社の新卒採用は50人を余裕で超えていた。道を進みながら周りを見ると、私と同じように慣れないスーツに身を包んだ若者が恥ずかしげに歩いている。

「きっと同期になる人なんだろうなぁ」

そんなことを思った。



会場は少し古くさい8階建てのビルだった。入社式は6Fにある大会議室で行なわれるらしい。

エレベーターで6Fに上がると、そこは大きな待合室になっていた。
そこには人が溢れかえっていて、どの顔も緊張と興奮に満ちていた。周りは見知らぬ人間ばかりだが、これから共に戦う仲間だ。なんとも言えない恥ずかしさがあり、たまに目線があってもすぐに逸らしていた。

待合室の席はすでにほとんど埋まっていて、私は仕方なく壁に寄りかかって本を読むことにした。さも「入社式だけど、全然緊張していない破格の新人」といった風情を醸しだすことにしたのだ。

正面にある両開きの扉はぴったりと閉めきっており、そこには張り紙がしてあった。

「時間までお待ち下さい」

時間を確認すると、すでに開始10分前だ。

高校時代、強豪の吹奏楽部で活動していた私には「15分前行動」が染み付いており、「10分前なのにまだ始められないなんて、ダメな会社だな」と、これからお世話になる会社に対して見下す気持ちと、妙な優越感を感じていた。
それに周囲のこれから同期になる人たちも全然焦る様子がなかった。携帯をいじっていたり、すでに周囲と打ち解けておしゃべりをする人。
「ずいぶんと緩いんだなぁ。やっぱり厳しい部活をやっていた自分は特別なのかもしれない」
優越感に拍車をかける私。

そして遂に開始予定時間の10時。

しかし扉は一向に開く様子がない。

大物然と読書に耽っていた私にもさすがに焦りが出てきた。
「まだなのか?開始が遅れるなら、何かアナウンスがあってもいいんじゃないのか?」

しかし周囲の人たちの様子は相変わらず。むしろ焦っているのは私だけのようだった。

ここで私のプライドが顔を出した。

「いかん、いかん。これくらいのアクシデントで焦るんじゃない。会場の準備が遅れることぐらいあるだろう」

そこから開場までの間、私は本を読んでいるフリをしながら、いつまで経っても開かない扉と、そのことにまったく動じない周囲の人間に視線を走らせ続けた。

そして30分後。

開け放たれた扉の中から、立て看板を持った人が出てきた。そして扉の前に置かれた立て看板にはこう書かれていた。



「〇〇専門学校入学式」



は?


 
その時、私の頭の中はまさに真っ白だった。無限に広がる雪原のように純白だった。

呆然とする私を尻目に、周りの人たちがニコニコしながら会場に吸い込まれていく。
「一体、何なんだこれは…?」

私は震える指を必死に押さえつけながら、もう一度入社式の案内状を手に取った。

「〇〇ビル 7F 大会議場」

 
ここは6Fである。


それからのことはよく覚えていない。

しかし確実に言えることは、私は今もその会社で仕事をしていて、100人の部下に囲まれているということだ。
人生なんてどうなるか分からない。

健闘を祈る。