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俺だってヒーローになりてえよ

圧倒的な読書量と端から忘却していく貧相な記憶力、ふざけた文章を駆使するポンコツブロガー。 同情されているのか、やたらとオススメ本や漫画が売れている。月間250冊以上。 バカなことを書いて怒られること多し。

人生の醍醐味は気付きにある。森博嗣『つぼねのカトリーヌ』



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どうも。くそ面白いエッセイを紹介しよう。

 

内容紹介

つぼねのカトリーヌ The cream of the notes 3 (講談社文庫)

森 博嗣 講談社 2014-12-12
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本書は講談社から発売されている森博嗣のエッセイのシリーズ三作目にあたる。内容は森博嗣が日々の生活の中で得た気づきや思いつきを無差別に並べ立て、それについて2ページだけ語ったものになる。その数なんと100個。

 

前作はこちら。

つぶやきのクリーム The cream of the notes (講談社文庫)

森 博嗣 講談社 2012-09-14
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つぼやきのテリーヌ The cream of the notes 2 (講談社文庫)

森 博嗣 講談社 2013-12-13
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シリーズとは言うものの、どれもこれも内容になんの統一性もないので、どれから読んでもらっても構わないし、むしろどれも読まなくても構わないだろう。と森博嗣っぽく書いてみる。 

ちなみにタイトルには何の意味もないので、詮索してもムダである。

エッセンスを少々

このエッセイのことを知らない人のために、内容を少々引用しておこう。

 

「才能のせいにした方が、人に優しい。」

本当は、誰もが「大部分は才能や運のせいだ」と認識している。そう思っていても、子供には、そんな身も蓋もないことは言えない。だから、「努力したおかげでああなったんだよ」と語りたくなる。けれども、これを真に受けて努力をした子供が、結局は才能の差で負けたりするのだ。このとき、子供は自分の努力が足りなかったせいだと思い込む。これは正しいことだろうか。

(中略)

すなわち、最後はこの「人の評価」というものの差になるのである。そんなものは大した価値ではない、と思えるだけのしっかりとした自分がいれば、努力は楽しいものになる。それが信じられない人には、努力は虚しいものになる。

(中略)

いずれにしても、才能と運によってかなりの部分で差が出る。もともとハンディはあるから、努力を少々したところでひっくり返すことは難しい。しかし、それでも努力をすることは楽しい。自己満足こそが、「幸せ」に相応しい感覚である。

 

この文章の面白さが分かる人であれば、『つぼねのカトリーヌ』で80回ぐらい楽しめるはずだ。純粋な森博嗣ファンであれば100回楽しめる。そんな作品である。

森博嗣がちゃんと苦労している

『つぼねのカトリーヌ』の紹介記事を書く上で、「最大の売りは何だろうか?」ということを少々考えた結果、「森博嗣がちゃんと苦労していること」だと結論づけた。

作品の中身に関しては、他の100個エッセイたちと何ら遜色はなく、そして区別も付けられないものである。どれも面白い。

ただ、「面白い」とだけ書くだけではあまりにも芸がない。そんなのは幼稚園児でも言えることだ。ブロガーとしては失格どころの騒ぎではない。死を持って償うべきレベルである。

で、考えたのが上記の謳い文句である。

苦労した結果を楽しもう

森博嗣は超速筆として知られる。

小説を執筆するとき1時間で大体6000文字という驚異的な速度を叩き出している。しかもこれが常時である。バケモノだ。しかも小説を書く時にプロットを練ったりはせずいきなり書き始める。悩みもしない。推理小説の場合でもトリックは考えておかない。流れの中で生み出す。

どう考えても異常である。だからこそ売れたのだとも言える。

そんな森博嗣だが、本書に関しては書き上げるのに半年以上の時間を費やしている。それだけテーマを集めるのに苦労しているそうだ。ちなみに執筆自体は1週間で終わらせてしまうそうだが…。

何でも楽々にこなしてしまうので、一般人の私としては小憎らしいと言ったらない森博嗣だが、本書は珍しく苦労している仕事なので、これは楽しむしかないだろう。やっと人間らしいところを垣間見せてくれた気がする。

気付きの美学

本書を読んでいると、はっとさせられる言葉に出会うことが多い。普段の自分がいかに固定観念に捕らわれているかを思い知らされる。

この経験は快感と呼べるものである。

森博嗣がエッセイの中で語る内容は、ときにぶっ飛んでいて、あまりも現実感がなかったりする。役に立たないとも言える。

だがそれよりも重要なのは、自分の脳みそに知らず知らずの内に作られていた壁が取り払われ、新しい平野が広がることなのだ。正確には私が自分で考えたことではないので広げられた、だが。

人生の醍醐味は気付きにある。そう思い知った次第である。

これは私見だが、バカほど「これが答えだ」と思いたがるように見受けられる。

自分自身の普段のバカなときを振り返ってみても、間違うときというのは大抵、感情的になり、「これ以外考えられないでしょ!」と決めつけている。愚かである。 

読書とは他人の知性に触れること

私は非常に愚かな人間だが、少なくとも愚かな自分を自覚し、できることであれば愚かな自分から脱却したいと思っている。願っている。

そのためには、本書をはじめとして、たくさんの本に触れ、著者の知性に触れて少しでも成長していきたいと思うのだ。

というようなことを私は本書を読んで感じたような気がするが、もしかしたら気のせいかもしれない。本書はそんなに肩に力を入れて読むようなものではないのは確かだ。

 

皆さんも森博嗣の知性に触れ、どんなふうに自分が触発されるのかを楽しんでみてはいかがだろうか。

 

以上。 

つぼねのカトリーヌ The cream of the notes 3 (講談社文庫)

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